2ndA‘s編
第十八話〜立つは誰がために〜
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にしなくてもクロノは理解した。
つまりは、これ以上の悲劇を生み出さないためにも、夜天の書を破棄することをヴォルケンリッターと管制人格であるリインフォースが望んでいるということだ。
それは夜天の書の一部である彼女たちの消滅とイコールで結ばれていた。
「いえ、私たちだけは残るんです」
重い空気の中新しい声が響いた。
アースラ・一室
『現出していたナハトヴァールを切り離した際、ヴォルケンリッターのプログラムも独立するように切り離したということらしいです』
『…………つまり、消えるのは夜天の書というストレージデバイスと――――』
『『…………』』
「…………リインフォース」
最後の言葉は思考ではなく言葉として漏れた。
ライは知らずの内に俯いていた。助けることができたと勘違いした末、後は自分が消えるだけで全てが終わると思ったが故に。
現実はどこまでもライを打ちのめす。
「…………っ」
歯を食いしばり、足に喝を入れ立ち上がる。緩慢な動きではあるが、確かな足取りで部屋から出ていこうとするライ。
『蒼月、アースラの人のこない一室にリインフォースとシャマルさんを呼んでくれ。パラディンは僕にそこまでのナビゲートを。人目につかないように』
頭がなんとか肉体を動かそうと命令を発し続ける中、思考の一部は二機のデバイスに新しい命令を発していた。
『何をする気ですか、マスター?』
「ひどく残酷な悪あがき」
ライは自身に刻み付けるようにそう口にする。
そして丁度それを口にすると同時に部屋の自動ドアが開く。通路の光がライを照らし出す。必要最低限の明かりではない、乳白色の光に目がくらむ。その為、瞬きをしながら入口の壁に寄りかかるようにして目が慣れるのを待つ。
「あ」
そして視界がはっきりすると、部屋の前に設置されているベンチに二人の少女がいることに初めて気付く。
それは肩を預け合うようにして座り寝ているなのはとフェイトであった。二人の膝にはそれぞれいつぞや二人にかけたマフラーと学生服の上着が綺麗に畳まれた状態で置かれていた。ライが起きた時に返そうと待っていて、二人はそのまま寝てしまったのだろうと見て察することができるような状態であった。
(いつ起きるかも分からなかったろうに)
ライは二人が自分を待っていてくれたことの嬉しさから自然と口元が緩んでいくのを感じた。
ふらつきながらも二人に近づいたライは、上着を肩にかけるように着る。そして片腕で苦労しながらもマフラーを広げ、毛布のように二人にかけてやる。
「ありがとう」
そして最後に二人の頭をそっと撫で、感謝の言葉を送ると二人を起こさないようにライはその場を後にした。
こ
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