2ndA‘s編
第十八話〜立つは誰がために〜
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秘匿手段であった。
『聞こえる?』
『『マスター』』
返事は即座に帰ってくる。そのことから、ハードはともかくソフトの方での損傷は少ないと分かったライは一応の安堵の息を吐いた。
『今起きたのだけど、あの後はどうなった?』
その質問に二機は丁寧に答えていく。
まず、ナハトヴァールのコアは作戦通りに消滅させることができたこと。そしてその後、ライを含めた自分たちがアースラに収容されたこと。ライは治療をされ、自分たちは中身を覗かれそうになったため逆ハックを行ったこと。
特に穴もなく、そして解りやすい説明は、貧血気味なライの思考でも十分な理解をさせることが出来ていた。
『……治療はアースラの医療班が?』
『はい。ですが、この世界のシャマル様も参加されました』
ライの中での気がかりを質問すると、正確にその意図を察した蒼月が最善の回答を寄越してくる。
『そう…………』
質疑応答を終えたライは達成感とそれに伴う虚脱感を覚えていた。
取り敢えずこの世界に来た目的を、自身がCの世界を匂わせる痕跡を必要以上に残す事なく終えることができたのだから。
だから、次に蒼月がしてきた報告にライは一瞬でも浮かれた自身を嫌悪した。
『…………マスター、このままではリインフォース様は消失します』
アースラ・食堂
「消える?夜天の書が?」
人気の少ない食堂にその声はよく響いた。
声を発したクロノは報告してきた民間協力者であるユーノ・スクライアに、視線で事情を話すことを促す。
ユーノ・スクライアは発掘を生業とする部族の出身で、今回の事件では無限書庫という文字通り無限と思える程の情報の文献保管所で夜天の書の仕組みや歴史を調べていた。
「夜天の書の闇、防衛プログラムであるナハトヴァール消滅した。それは確かだけど、あれはあくまで出力されたデバイスでしかない」
「――――」
ユーノの言葉を頭の中で反復させ、理解を得ようとし、ある結論に辿り着く。
「つまり、夜天の書の中にはまだナハトヴァールのバックアップが残っているのか?」
そのクロノの言葉に頷きを返すユーノ。そこには悔しさと申し訳なさで沈みきった彼の泣きそうな顔があった。
「……修復は?」
残酷なことを聞いていると言うことを自覚しつつも、聞くべきことは聞かなければならないと割り切り彼は尋ねる。
「破損は深刻な部分まで至っているようで、残念だけど夜天の書の原型の設計図でもない限り修復はできない。このままだと近い将来再び夜天の書は闇の書に戻ってしまう」
「……じゃあ、彼女たちは」
「……うん。それを当人たちも望んでいる」
言葉にするのは躊躇われたのか、結論を言葉
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