2ndA‘s編
第十八話〜立つは誰がために〜
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ベルであった。
その為、投降してきたシャマルも加わり、アースラの医療班総出でライの治療に当たることとなり、一時的ではあるが戦闘中のブリッジ以上に騒がしくなる医務室であったのだ。
付け加えるのであれば、全力を尽くしたのは医療班のみではない。技術部の方でも一時期騒然となった。
その原因は彼のデバイスである蒼月とパラディンである。二機は一時的に管理局側が回収していた。本来であれば携帯者の許可なく預かることは違法であるのだが、二機とも損傷が激しかったことにより修理が必要であることと、一応ライが管理局員であると主張していたため二機のデバイスは管理局の備品の一部であるという拡大解釈を行うことで合法的に預かっているのだ。
しかし、二機のデバイスには当然のようにシステムにプロテクトが掛けられており、無理に解こうとしたところ逆にハッキングを仕掛けられることになってしまう。普段であればある程度の防壁を持っているアースラのセキュリティなのだが、蒼月とパラディンの基準としている相手の技術レベルが問題となった。
二機のセイフティとして機能している逆ハッキング機能であるが、それを使用したのはただ一度のみであるのだが、その一度の相手が良くも悪くも大物すぎた。その相手はこの次元世界の約十年後の管理局本局のセキュリティを無効化し、ほぼ独自の技術を確立させるにまで至った“あの”ジェイル・スカリエッティなのだ。そして異世界の技術を使用しているとは言え、そんな彼に回線を遮断させることでしか対抗できなかった二機が本気で逆ハックをかけてしまえばどうなるのか。
後日、二機は語る。「「本気を出せばもう少しで全て掌握できた」」と。
もちろん、制圧目的ではないため即座にハッキングの手を緩め、今は大人しく沈黙を保っている二機であるのだが、そんなことを露と知らない技術部は今も戦々恐々としていたりする。
そんなある意味で戦場以上の山場を超えたライ達であった。
「……………ぅぁ?」
掠れた音が漏れる。
発生源は部屋にいるライの口から。本来なら治療のために使用された麻酔によりあと数時間は意識が戻る見立てはなかったのだが、ブリタニアで行われていた人体実験によりある程度の薬物に対する耐性ができてしまっていたライは、そんな医者の見立てをあざ笑うかのように意識を戻す。
(…………暗い)
意識が戻り一番初めの思考は今現在自身のいる部屋に対する感想であった。
「ん…………ぅん?」
起きたばかりではっきりしない意識の中で、とにかく部屋の明かりをつけようと起き上がろうと試みる。しかし、身体を起こそうと身をよじるが、うまく体を動かすことができずに困惑の声を漏らすしかできない。
体を締め付けられている感覚から包帯が巻かれているのはわかるが、それだけで動けなく
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