2ndA‘s編
第十八話〜立つは誰がために〜
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守るために力を欲した。
だが、その力がすべてを失う引き金となり、自身の無力さを噛み締めた。
それは時代が過ぎても変わらない。
他人から押し付けられた力を得たところで守れたものはほんのひと握りだ。
何処まで行っても“力”は何かを失う引き金にしかなりえない。
それでも救おうと足掻き続ける彼は本当に無力なのか?
衛星軌道上・アースラ・ブリッジ
数時間前まで、コンソールを叩く音とオペレーターの声が飛び交い、嫌でも焦燥感を生み出していたこの場所も今は必要最低限の音しか存在しない。
主にその音を鳴らしているのは艦長席に座るリンディとオペレーター席に座るエイミィの二人である。そもそも今のブリッジにはこの二人しかいないのだから、音が少ないのは当たり前であった。
先の防衛プログラムであるナハトヴァールを、クロノのプラン通りにアースラに装備されたアルカンシェルで消滅させてから半日以上が経っていた。
戦闘についてもそうであるが、ナハトヴァールがどれだけ地球に影響を及ぼしたかの調査など、やるべきことはまだまだあるのだが、リンカーコア強奪事件からずっと緊張状態を続けていた一同はほんの束の間ではあるが休息の時間を過ごしていた。
「ふぅ……」
艦長席に座るリンディが思わずといった風にため息をつく。
彼女は今、今回の事件についての報告書を作成していた。いつもであれば、ある程度の時間があれば纏められるその作業はしかし、今は難航していた。
(どこまで書けばいいのかしら?)
今回の事件、解決のために事件の核心をほぼ正確に把握しているのは今のところ一人しかいないのだ。もちろんアースラにいる今回の事件を担当した局員たちもある程度の事情を把握している。
何故なら先の戦闘後、あくまで形式上ではあるが投降を受け入れた守護騎士達から事情聴取を行うことができたのだから。
特に彼女たちはあくまで蒐集は自分たちの意思であり、八神はやては偶然主として選ばれただけの被害者であり、ナハトヴァールを夜天の書から切り離す一助を行った貢献者であると強く主張してきていた。
(……受け入れないでしょうね、彼女たちの言う通りの少女であるのであれば)
既に目を通した事情聴取の報告書に再び目を向けながら、そんなことを思い始めるリンディであった。
話を戻すと、今回の事件の本当の意味での立役者であり、防衛プログラムと大立ち回りを演じた魔導師、ライ・ランペルージからの聴取を未だに取れていないこと。更に彼のことを何処まで書いていいのか今の彼女には判断ができないのだ。
前者の理由は戦闘後に墜ちた彼を回収し治療を行ったのはいいが、それ以降彼が目を未だに覚ましていないことにあっ
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