sts 10 「夜のひと時」
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進むことが出来たんだ。……なあティアナ」
「何ですか?」
「お前は独りなんかじゃない。誰かがきっとお前のことを見てくれてる」
脳裏に浮かんできたのは、無駄に元気で意味がなくても絡んでくるバカだった。でもいつも傍に居てくれる奴で、落ち込んだ時には励ましてくれた。今ももしかすると……私の帰りを待って起きているかもしれない。
「強くなりたいって気持ちは誰だって持ってるし、今居る環境的に焦るのも分かる。けどな、お前が無茶をすればお前を見てる誰かは心配するし、お前が怪我でもすれば傷つく。それくらいは分かるよな?」
「……はい」
「なら無茶な練習するのはやめろよ。練習するにしても自分がどういう風になりたいのか、どんな風に動けるようになれば自分の役割を果たせるか、そういう目標がないと無意味だ。……それに」
ショウさんはそこで一度口を閉じて立ち上がり、小さく息も漏らす。渋々といった顔を浮かべながら続きを口にした。
「俺も一応お前の教導官だからな。あんまり無茶してると手荒なことをしてでも止めないとならなくなる。だから今日はもう自分の部屋に戻って寝ろ」
いいな?
という問いかけに私は自然と肯定の返事をしていた。明日の訓練のことを考えるとこれ以上行うのは良くないし、自主練するにしても早起きしてやればいいことだ。
何より……ここでまだやると言えば、話の流れからして平手打ちとかをされるかもしれない。自分から痛みを感じたいとは思わないのでここは大人しく従うべきだと思ったのだ。
「それと、今日カートリッジを4発使ったそうだけどそこも気を付けとけよ。今のカートリッジは昔に比べれば安全だが事故が起こらないってわけじゃないんだ。下手をするとお前とクロスミラージュ、両方吹っ飛びかねないぞ」
「それは……その、すいませんでした。でも扱えるようになってみせます」
「はぁ……真面目な発言も時としては生意気だな。まあ扱えるようになることに越したことはないが、地道にコツコツやれよ。それが守れないようならクロスミラージュは取り上げるぞ」
「それは困ります。……善処はします」
私の発言にショウさんはやれやれといった顔を浮かべると、私の頭を軽く何度か叩いて空になったバスケットを持って去って行った。
がっつりと話したのは今日が初めてだったように思えるけど、何となくエリオがショウさんのことをお兄さんのように思うのも分かった気がする。
――けどまあ、私は兄扱いはしないけど。私の兄さんは兄さんだけだし、兄さんとは年齢が離れてたから歳の近いショウさんを兄のようには思えないし。
「……何だか急に眠くなってきたわ。さっさとやること済ませて今日は寝よう」
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