sts 10 「夜のひと時」
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更……。
「なのにお前もあの人も……もっと上を目指すんだよな。尊敬するぜ」
「……あの人?」
「ん? あぁショウさんのことだよ。お前を見てると昔のあの人がダブって見えるからな」
ヴァイス陸曹は何を言っているのだろうか。
私とショウさんがダブって見える? そんなことあるはずがない。あの人は私と違って才能に溢れた人なんだから。
今日の任務だってリミッターが掛かっている状態なのにガジェットを簡単に葬っていた。力量で言えば、あの人は隊長陣に匹敵している。
凡人であるはずがない。
そう思っているのに、どうして私はこんなにも苛立っているのだろう。なのはさんやフェイト隊長と比較したときなんかは仕方がないと思えるのに、あの人と比較すると割り切ることが難しい。
「……まあ邪魔する気はねぇけどよ。お前らは体が資本なんだ。体調には気を遣えよ」
「ありがとうございます。大丈夫ですから」
自主練を続けながら返事をするのもどうかと思ったが、邪魔する気はないとヴァイス陸曹の方から口にしたし、何より今は1秒たりとも無駄にしたくない。
そう思って自主練を続けているとここから離れていく足音が聞こえてきた。振り返る動作の中で確認してみると、小さくなっていくヴァイス陸曹の背中が見えた。本当に邪魔するつもりはないのだと安堵した私は、神経をスフィアと自分の体に研ぎ澄ませた。
黙々と自主練を続け……ヴァイス陸曹が去ってからそれなり時間が経って夜も深くなったきた頃、不意に第三者の足音が聞こえた。疲労から両膝に手を着いて休んでいたので、私の意識は自然とそちらに向いた。
「……思ってた以上に深刻そうだな」
立っていたのは呆れた表情を浮かべているショウさん。日頃訓練を見ている人物だけになのはさんに自主練を行っていたことを伝えられると面倒なことになる。彼を見る目に力が入ってしまったのはそれが理由だろう。
だけどショウさんは気にした素振りも見せずこちらに近づいてくる。手に何か持っているようだが……。
「……自主練しちゃいけませんでしたか?」
「良いか悪いかで言えば悪いな」
きっぱりと言い切った割には表情は険しくない。私がこの人に対して苛立ちを覚えるのは、考えていることを読み取りにくいことが原因のような気がしてきた。
「ゆっくり休むように言われていたはずだし、何よりお前の教官の訓練はいつもハードだ。疲れがある状態でやれば倒れかねない」
「大丈夫です、問題ありません。自分の体のことは自分が1番分かってますから」
だから放っておいてください。
そう続けようとした矢先、不覚にも腹の虫が鳴ってしまった。戻ってきてからぶっ通しで自主練したため、夕食を取っていなかったのだから当然とも言える。
しかし、スバルやエリオ
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