sts 10 「夜のひと時」
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もう今日のような過ちは繰り返さない。そして、絶対ランスターの銃弾は……兄さんの魔法は無能なんかじゃないって証明してみせる。
その想いを胸に私はホテル・アグスタから機動六課の隊舎に戻ってから独り自主練を行っている。内容はスフィアにクロスミラージュの銃口を向ける、という単純なもの。しかし、精密射撃を行うためには対象にきちんと銃口を向けるのは必要なことだ。
ひたすら地味な訓練を続けているうちに赤み掛かっていた景色は次第に薄暗いものへと変わる。幸い隊舎が近くにあるので、そこから漏れる明かりはある。また空にもそこまで雲がないおかげで比較的視界は良好だ。これならばまだ自主練を行うことができる。
「……ぁ」
そんな風に思った矢先、銃口を向け直そうと体重移動を行った瞬間足元がぐらついてしまった。
日頃の厳しい訓練での疲労、それに昼間の戦闘に自主練……体が重くなってしまうのも当然といえば当然だ。でもだからってやめるわけにはいかない。才能がない私はその分努力して補うしかないんだから。
軽く息を整えてから自主練を再開した直後、不意に手を叩いたような乾いた音が響く。音がした方に意識を向けてみると、そこにはヴァイス陸曹が立っていた。
「もう4時間も続けてるぜ。いい加減倒れるぞ」
「……見てたんですか?」
「ヘリの整備中にスコープでチラチラとな……ミスショットが悔しいのは分かるけどな、精密射撃なんてそうほいほい上手くなるもんでもねぇし。無理な詰め込みで変な癖つけるのも良くねぇぞ」
私よりもヴァイス陸曹の方が年上だ。そのため私よりも経験があるものはあるだろう。でも彼が行っている仕事はヘリのパイロットが主のはず。精密射撃についてそこまで知っているとは思えないけど、今の口ぶりはまるで経験者のような……。
「ぁ……って、昔なのはさんが言ってたんだよ。オレはなのはさんやシグナム姐さんとは割りと古い付き合いでな」
なるほど……確かにヴァイス陸曹は隊長達と親しげに話していたりする。どこか誤魔化すようにも見えたけど、ヘリのパイロットである自分が……といった考えもできるわけで今の言動がおかしいというわけでもない。
もしも本当になのはさんが言ったことなら……普通に考えればもうやめたほうがいいんだろう。だけど今のままじゃ私はきっとフォワードのお荷物になる可能性が高い。
「……それでも詰め込んで練習しないと上手くなんないんです。凡人なもので」
「凡人か……オレからすりゃお前は充分に優秀なんだがな。羨ましいくれぇだ」
励まそうとしてくれてるのは分かるし、自分よりも魔力量や技量で劣っている魔導師が居ることは理解している。でもだからって努力を怠っていい理由にはならない。執務官っていう難関として知られるものになりたいと思っているなら尚
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