殲滅
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き上げてきた俺の麻薬カルテルを、侍如きに潰されてたまるか!! 死ねぇ!!!」
怒りに任せてミハエルは刀を大きく振りかぶり、セルゲイは集束砲撃を発射した。非殺傷設定なんか微塵も使われていない攻撃を前に、サムは怖気の走る獰猛な笑みを浮かべて刀を一旦納刀する。そして次の瞬間、トリガーを引いて爆発的な威力も加わったサムの抜刀術に斬られたミハエルの刀は弾き飛び、セルゲイの砲撃は真っ二つに両断され、床と天井に大穴を開けた。しかもサムは抜刀時の勢いのまま、まるでジェットストリームの如く二人に瞬足接近し……、
ジャキンッ……!!
一太刀で辮髪の男、ミハエルの首を切断した。
[ッ……!]
断面から血を噴射しながら宙を舞い、ゴトリと鈍い音を立てて地面に転がるかつての同胞を前に、サムは無言で刀を納める。シュテルが息を呑む中、残された胴体はバランスを失って崩れ落ち、しばらく痙攣してから徐々に動きが止まった。
「これが剣術だ……と言った所で聞こえちゃあいないか。地獄でたっぷり折檻されるんだな、ミハエル。それと……別に忘れちゃあいねぇぜ、三下の魔法使い?」
「ひっ!? く、来るな! 来るな、来るな、来るな、来るなぁぁあああああ!!!」
恐慌状態に陥ったセルゲイが滅多矢鱈と魔力弾を発射するが、狙いの定まっていない攻撃がサムに当たるわけも無く、死神の足は一瞬で迫り、血塗られた刀がセルゲイの胴体を斜めに切断する。肺までざっくり斬られたセルゲイは傷口から大量に血を噴射し、口からも血を流しながらゆっくりと倒れていった。……今夜はうなされそうだ。
話には聞いていたが、実際に目の当たりにしてわかった。高周波ブレードはバリアジャケットすら容易く切り裂ける程威力を上げる。クロノ曰く、ある程度の質量兵器ならバリアジャケットで防げるらしいが、高周波ブレードはバリアジャケットをも簡単に貫くから、魔法至上主義の管理局や魔導師にとって悩みの種になるだろうな。
今後のために、俺の暗黒剣も高周波ブレードに改造するべきか? ……いや、それだと流石に殺傷能力が高くなりすぎる。余程の事態に追い込まれない限り、この剣はこのままにしておこう。
「……そっちの戦いも終わったか、サム」
「よぉ、サバタ。作戦通り、仇討ちは果たしたぜ」
「同門の剣士と高ランク魔導師を同時に相手して、余裕で勝つとは流石だな。こっちはヘリを一機落とした、出迎えてくれた連中は全員入り口の所で拘束してあるが……奴らはどうする?」
「無論、全員始末する。組織を消しても一部が生き残れば誰かがまた麻薬を売り始める、そしてまた新たな組織が生まれる……。組織というのは生き物だ。個々の細胞を殺したところで、総体に変化はない。だが全ての細胞を殺せば生物は死ぬ、つまりそういうことだ」
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