殲滅
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良かったと言えるでしょうね]
「襲撃が終わった後にサムが斬り捨てる可能性も無きにしも非ずだが」
ともあれ今はハインドDをどうにかするのが先決だ。エントランスをそのまま直進し、それなりに広い中庭へ踏み入る。中庭には植物のケシが栽培されており、一見すれば綺麗なガーデニングなのだが……ケシは麻薬の一種である阿片の材料だ。要するにここでも麻薬を自家栽培していたという事になる。
「とことん腐ってるな、ここの連中は」
他者を破滅に追い込んできた人間の性質の悪い性質を目の当たりにして、俺は嘆息する。だが屋敷を越えてきたハインドDは、俺を見つけるなりガトリング砲を再び発射してきた。
落ち込む暇は無いか。銃撃をかわしながら走っていると、中庭の中央にセルゲイの姿を模した、金で作られた悪趣味な像が建っている噴水を発見した。どうやらこれがシュテルの示した噴水のようだ。
「セルゲイは自己顕示欲が強いのか? はっきり言って気持ち悪い」
[同感です。それはそれとして台座の部分に仕掛けのリモコンを隠していますから、すぐにそれを押してください]
メダルをはめる部分は無い像が設置されている台座を急いで調べると、遠隔操作用のリモコンが上手い具合に死角に隠されていた。ヘリの銃口がこちらに照準を合わせるのを横目に、それを急ぎ取り出してリモコンのスイッチをヘリに向け、中央のボタンを押す。
―――爆ッ!!!
「……は?」
ハインドDが爆発した。それはもう盛大な火球となって、空に一際強い明かりを生み出したヘリはコントロールを失い、胴体が回転しながら高度を下げていった。屋敷の影にヘリの姿が消えた数瞬の後、豪快な火柱が向こう側で上がる。
[あのハインドDにはあらかじめトリニトロトルエン爆弾とC4爆弾を仕掛けておきました。リモコンはその起爆スイッチです。脅しなどに使えればいいと思って潜入時に設置しておいたのですが、それが存外役に立ちましたね]
「そうか……そこらの工作員も顔負けだな。とにかくシュテルの手柄だ、助かったぞ」
[えっへん]
「さて、ついでに火葬も済んだ。ターゲットの所へ行くとしよう」
シュテルの策の結果、ヘリが落ちた事でセルゲイも相当焦っている事だろう。まだ生きていれば、の話だが。奴がサムの刀の錆になっているかどうかをこの目で確かめるためにも、俺は屋敷の階段を使って上っていく。
しかし……そこらの死体が持っているのはアサルトライフルにマシンガン、バズーカといった重火器が中心で、外に出てきた連中よりはるかに厄介そうな奴らを刀一本で殲滅したサムの実力は、俺から見ても途方もないように感じる。ともあれ彼が屋敷内の敵を片っ端から残らず始末したため、俺は他の敵と戦う事も無く最上階へとたどり着いた。
「ハインド
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