第百四話
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・・時に子の血を吸う、複数の女の吸血鬼の相称として」
「そういうこった。オレの時は見た目は幽霊だったが、どれの力も使ってきたんじゃねえか?」
まあ、混同されたり同一視されたりすればその力も使えるのが末路わぬ神ですからね。使うでしょうよ、五つどの姿の力も。
「その名で語られる中でも有名なのは、ベーロスとその母であるリビュエーの娘である姿でしょう。その美貌は、ゼウスに目を付けられるほどだったとか」
「できるなら、そっちの姿で出てきてほしかったもんだな」
そう愚痴られましても、どうしようもないのですが。というか、この伝承の姿でてて来たとしてもあまり美しくはないと思うのですけどね。
その伝承に少しばかり同情しながら、絶え間なく放たれてくる酸化だとか植物の応酬だとかそれ切ったら飛んできた斬撃だとか、あとなんか飛んできた車輪に水なんかを弾いて貫いて狂わせて、口以外も割と忙しいです。しかも、とうの九人目はどれも通じないと見るや翼が生えて空に逃げますし。なんなんでしょうかね、ホント。
「しかし、その美貌が彼女にとっての不幸の始まりであった。ゼウスに見初められてしまったがゆえに、彼の妻である嫉妬深きヘラに目を付けられてしまった。当然のようにゼウスとの間に生まれたすべての子は殺され、自らは怪物に落とされ、眠りさえも奪われる」
「あらら、そいつはご愁傷様だな。眠ることで悲しみから逃げることまで禁止されちまったのかよ」
「そうなりますね。とはいえ、眠ったら眠ったで悪夢を視そうですけど」
「言われてみりゃ確かにそうだ!」
そう言って笑う彼の声を非常に不快に思いながら、魔力をためます。別にそこまで意識しなくても使える術ではありますが、空を飛ぶ相手に対して使うには絶対にはずさないようにしなければなりませんから。
「そんな彼女に対してゼウスは目を取り外して眠れるようにしたものの、彼女は子を持つ母親をうらやむあまりにその子供を食べてしまうようになる。美しい人間の女であったにもかかわらず、その姿は女性の頭と胸に蛇の下半身を持つ怪物の姿に。何とも不遇な生涯を送ったんですよね・・・同情します」
「今更かもしれねえが、容赦なさすぎやしねえか?」
神話は、割とそういう面が大きい気がします。ギリシア神話なんて、どこまでもそんな要素が大きい気が。人間以上に妙な人間らしさがあるというか、神らしさがないというか、自由すぎてしまうというか・・・いや、私が言っていい立場ではない気もしますけど。そのギリシア神話出身ですし、ヘラクレスが試練受けたのも私のせいですし・・・できるなら、会いたくないですね。
っと、話がそれましたか。
「そもそもは、スキタイの戦いの女神であったとかリビアの愛と戦いの女神であったとか言われ、さらにはアフリカの怪物ラミア
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