sts 09 「消えない不安」
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って暗めの顔をしていたが、思ったより平気そうな顔だったな。ただ……弱いところを露骨に見せるようなタイプにも見えないし、かえって心配にもなるんだが。
「あのさぁ、ふたりともちょっといいか?」
一緒に歩いていたヴィータが先を歩いていたなのはとフェイトに声を掛ける。ここに来るまでこれといって会話がなかっただけにシグナムやシャーリーも突然のヴィータの発言に意識を向けているようだ。立ち話もなんなので俺達は近くにあった休憩場所に移動して腰掛けた。
「訓練中から時々気になってたんだよティアナのこと」
「うん……」
「強くなりたいってのは若い魔導師ならみんなそうだし、無茶だって多少はするもんだけど……あいつの場合、ちょっと度を超えてる。あいつ、ここに来る前に何かあったのか?」
ヴィータの質問になのはは俯きながら肯定の返事をした後、スクリーンに重要な人物を映しながら話し始める。
「この人はティアナのお兄さんのティーダ・ランスター。当時の階級は一等空尉、所属は首都航空隊……享年21歳」
「結構なエリートだな」
「そう……エリートだったから、なんだよね。ティーダ一等空尉が亡くなった時の任務……逃走中の違法魔導師に手傷は負わせたんだけど取り逃がしちゃってて」
「まあ地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで、犯人はその日の内に捕まったんだけどね」
そう……この一件でさらなる被害が出ることはなかった。これもティーダ・ランスターが犯人に手傷を負わせていたことが大きい。
にも関わらず、当時の上司は亡くなった彼に対して暴言を吐いたのだ。それが元で一時期社会的に問題になるほどの……。
「事件が悪化せずに済んだのはティーダ・ランスターが命懸けで戦ったことが大きい……が、彼の上司はあるまじき暴言を吐いた」
「暴言?」
「ああ……簡潔かつ直球に言ってしまえば、犯人を追い詰めながら取り逃がして死ぬような奴は無能だってな」
「そのときティアナはまだ10歳……両親はすでに亡くなっていたからあの子にとっては残った唯一の肉親だった。それなのに最後の仕事は意味のないものだって言われて……きっとひどく傷ついて、悲しんだと思う」
だからおそらくティアナの中にはある決意があるはずだ。兄であるティーダの魔法は無能なんかじゃない。彼の為せなかった執務官になるという夢を自分が代わりに実現することでそれを証明してみせる、といったものが。故に彼女は必要以上に真面目で一生懸命なのだ。
「なるほどな……そういう経緯なら納得もできる」
「うん……多分今日もそれが理由で起きちゃったと思うんだ」
確かにそれも事実だろう。だが……今回の一件が起こったのはこれだけが理由じゃない。
もしもそれだけが理由ならば、今よりも腕が未熟だった訓練校時代にも同じよ
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