暁 〜小説投稿サイト〜
dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第28話「誇りを持つ者」
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
気。
クリスはシャルルを純粋に尊敬できると、心の底から思った。

「シャルルさんは……すごいです」

「君だって、誇り高い悪魔狩りの一人だ。アイリスだってそうだ」

シャルルの言葉に、クリスは自嘲気味な笑みを見せた。

「僕はそんな大した悪魔狩りじゃないですよ……僕は…アイさんを守れればそれで…」



人間でも悪魔でもない。フォールマンという特異な存在であるクリスにあるのは、誇りではなく
"自己犠牲の精神"だ。
中途半端な自分にできるのは、大切な人の盾になること。
クリスはずっとそう思いながら悪魔狩りを続けていた。


「いいじゃないか、守るために悪魔狩りになるのも。大切な誰かのために戦うのも、立派な悪魔狩り
の資質だ」

「えっ……」

「ただ、自分を犠牲にする姿勢は感心できないな。守りたい人を守って死んでも、その人が本当の
意味で救われたことにはならない。それで死んで満足するのはただの自己満足だ」

そう言い終えると、シャルルはクリスに背を向け、展望台の端まで歩いて行った。

シャルルの言葉に、クリスは納得と同時に、今までの自分の考え方に後悔した。
言われてみれば…というより、少し考えれば分かることだった。
自分の"自己犠牲の精神"を貫いて本当に死んだとしたら。


アイリスはどうなってしまうのか。


その答えは、長年パートナーとしてアイリスに寄り添ってきたクリスなら容易に出せる。

生涯癒えることのない心の傷を刻み込んでしまう。




「(……自分を犠牲にせず、大切な人を守る……僕に、できるかな…)」

















「……! クリス、アイリス! 現れたぞ! 3時の方向だ!」


突然のシャルルの大声に、2人は同時に彼と同じ方角を見た。
”それ”は、深夜のパリの上空に現れた。


赤黒い羽毛で覆われた巨大な鷲の姿が見えた。
暗闇で一際目立つのは、4つの黄色い眼光。
狙った獲物を食い千切る鋸のような牙の生えたクチバシ。
普通の鳥類にはないはずの、鉤爪の付いた長い尾。



「アイリス、あれを見ても背中に乗りたいと言えるか?」

「うぅ〜ん……ちょっと怖そう、かな…」

アイリスとシャルルとの会話を聞いていた最中、クリスはただ一人、大鷲を険しい表情で見ていた。
フォールマンの優れた視力によって、大鷲のわずかな変化にも気づくことができた。

黄色い4つの眼がギョロリと動き、こちらを睨んでいる。視線はそこから全くぶれていない。


「まだ距離は遠いですけど、僕たちの存在に気付いたみたいです」

「……見えるのか?」

「はい。あの大鷲、僕らを見つけてから全く視
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ