第二百十話 夜の戦その十三
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「是非な」
「では」
「ここは」
「川を渡り」
「決戦としましょう」
「うむ、進むぞ」
信長は朝を待った、そして。
その朝になってだ、全軍に命じたのだった。
「ではじゃ」
「行きましょうぞ」
「戦の場に」
こう言ってだ、信長は軍勢に川を渡らせた。そのうえで遂に磨上原に向かう場所に来た。そこで合流して来た騎馬隊を見てだ、率いていた柴田達に言った。
「ご苦労じゃった」
「有り難きお言葉」
柴田はその信長に畏まって応えた。
「そう言って頂き何よりです」
「うむ、ではじゃ」
「はい、いよいよですな」
「戦じゃ」
その時が来たというのだ。
「伊達との最後のな」
「ではこれより」
「磨上原に向かいな」
そうしてというのだ。
「伊達と戦うぞ」
「ではその時に」
「うむ、かねてよりの策をな」
それこそとだ、信長は明智にも応えた。
「使うぞ」
「あの鉄砲騎馬隊に対して」
「あの策をな」
「では」
「その策もある」
用意してあるというのだ。
「だからじゃ、ここはじゃ」
「はい、このまま」
「磨上原で戦じゃ」
必勝の策があることがというのだ、こう話してだった。
そうしてだった、信長は全軍を磨上原に向かわせた。それは猪苗代城にいる政宗からもはっきりと確認された。
そしてだ、政宗は伊達家の諸将に言った。
「ではじゃ」
「はい、いよいよですな」
「織田家とですな」
「雌雄を決しますな」
「勝つのはわしじゃ」
その隻眼を鋭くさせての言葉だ。
「勝ちそしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「織田信長を捕らえ」
「城下の盟を誓わせますか」
「あの者は殺さぬ」
こうも言う政宗だった。
「決してな」
「殺さずにですな」
「あえてそうして」
「わしの家臣とする」
政宗もまたこうした考えだった。
「そうする」
「ですか、では」
「織田信長を捕らえる」
「そして天下を手に入れ」
「殿が、ですな」
「その通りじゃ、わしが天下人となる」
その野心もはっきりと言うのだった。
「だからじゃ、勝つぞ」
「はい、では」
「殿、これより参りましょう」
「戦の場に」
「小十郎、時宗丸」
政宗は己の左右に控える二人にも声をかけた。
「ではな」
「はい、これより」
「戦に向かいましょう」
「こちらは二万、敵は十万」
ここでもそれぞれの兵の数が述べられる。
「兵の差は多いがじゃ」
「勝つのはですな」
「我等ですね」
「みちのくの武士の力を見せてやるわ」
織田信長、そして織田家にというのだ。
「そしてじゃ」
「この戦に勝ち」
「織田信長も捕らえて」
「最後は天下を手にするぞ」
その隻眼を都の方に向けての言葉だった、政宗は
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