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戦国異伝
第二百十話 夜の戦その十一

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「このままずるずるとすれば」
「下手に消耗して」
「そして、ですな」
「戦に敗れる」
「そうなりますか」
「今なら間に合う」
 だからというのだ。
「ここはじゃ」
「退くのですか」
「そうしますか」
「うむ、小十郎達に伝えよ」
 是非にというのだ。
「ではよいな」
「はい、それでは」
「ここは」
「一旦猪苗代城まで下がる」
 これが政宗の断だった。
「よいな」
「では」
 家臣達はすぐに応えだった、そのうえで。
 政宗の采配の下猪苗代まで下がり片倉達にも伝令を送った、片倉と成実はその伝令からの政宗の言葉を聞いてだった。
 すぐにだ、こう言った。
「ではな」
「猪苗代城まで、ですな」
「下がるとしよう」
「わしとしては戦いたいが」
 それでもだとだ、成実はこう言った。
「しかしこのまま戦えばな」
「敗れる」
「そうなるからな」
 それがわかっているからだった。
「下がるとしよう」
「では」
「皆の者、猪苗代城まで下がるぞ」
 成実は兵達に告げた。
「よいな」
「はい、では」
「ここは」
「すぐに去る」
 つまり退く、というのだ。
「後詰はわしが務める」
「いえ、ここはです」 
 片倉がここで成実に申し出た。
「それがしが」
「御主がか」
「はい、いつもそうではありませぬか」
「攻めるのはわしでな」
「守りはそれがしです」
 これが伊達家の受け持ちだ、攻める時はまず成実であり守るのは片倉の務めだ。そうして二人で政宗と伊達家を支えているのだ。
「ですから」
「頼めるか」
「お任せ下さい」
 微笑みだ、片倉は成実に答えた。
「ここは」
「それではな」
「猪苗代まで下がりましょう」
 こうしてだった、伊達の軍勢は素早く退くはじめた。それは茂庭もだった。
 柴田との一騎打ちを止めてだ、こう柴田に言った。
「では柴田殿」
「むっ、去られるというのか」
「名残惜しいでござるが」
 それでもというのだ。
「ここはお暇をさせて頂きます」
「むう、ここで貴殿との決着をつけたいが」
「それは次の機会に。では」
「むっ、待たれよ」
 柴田は茂庭を追おうとする、だが。
 茂庭はそれよりも速く馬を走らせてだった、そうして。
 去ってしまった、これでは柴田も追えなかった。
 だがそれでもだった、柴田は率いている者達にこう言った。
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