第二百十話 夜の戦その十
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「ですからここは」
「我等もいます」
「どちらかにして下され」
「前田慶次か可児才蔵か」
「そのどちらに」
「ましてやです」
それに加えてというのだ。
「敵には柴田利家もいます」
「あの織田家きっての猛将がじゃな」
「はい、その攻めの強さは天下に知られています」
だから信長も重く用いているのだ、佐久間と並んで織田家の二枚看板となっているのは伊達ではないということだ。
「あの者も」
「そうじゃ、あの者がおるのならな」
それならと言う茂庭だった。
「ここはじゃ」
「柴田勝家にですか」
「向かわれますか」
「そうしようか」
「ではです」
「あの二人は我等が」
「いや、待て」
茂庭は血気に逸る伊達の若武者達をここで止めた。
「御主達ではじゃ」
「あの二人の相手にはですか」
「荷が重いと」
「そうじゃ、あの二人はそれこそじゃ」
ここで茂庭が名前を出す二人はというと。
「殿の左右のな」
「片倉様か成実様」
「お二人だけですか」
「そうじゃ、だから御主達は向かうな」
慶次、そして可児にはというのだ。
「よいな」
「わかりました」
「それでは」
「うむ、ではな」
こう話してだ、茂庭は柴田の馬印を見付けるとそこに馬を走らせてだ、こう言った。
「そこにおるのは柴田勝家殿か!」
「そう言う貴殿は誰か!」
「それがし名を茂庭左月良直と申す」
自ら胸を張って名乗る。
「是非柴田殿と手合わせ願いたく参上した」
「そうか、貴殿があの名高い」
「ご承知か、それがしのことを」
「うむ」
柴田は微笑み茂庭に答えた。
「貴殿の勇名は都まで届いておりますぞ」
「それは嬉しきこと、では」
「これよりですな」
「手合わせを願いたい」
「こちらも望むところ」
こう言ってだ、そしてだった。
茂庭と柴田が一騎打ちに入った、織田家の騎馬隊は主将がそれに入ったがそれでもだった。まだ将がおり。
その彼等が戦いだ、そしてだった。
伊達の軍勢を果敢に攻めていた、その頃政宗はというと。
自身が率いる鉄砲騎馬隊の先頭にいた、だがその彼の周りを。
織田の騎馬隊が幾つかに分かれ左右に動いていた、それを見てだった。
そうしてだ、こう兵達に言うのだった。
「ここはじゃ」
「はい、迂闊にはですな」
「動けませぬな」
「あの騎馬隊は陽動じゃ」
このことは既に見抜いていた、だがそれでもだ。
「しかし迂闊に動けばじゃ」
「攻めて来る」
「そうして来ますな」
「そうじゃ、如何に鉄砲騎馬隊といえど」
こうも言うのだった。
「周りでここまで動かれるとな」
「下手には動けぬ」
「そうなりますな」
「小十郎達の方には騎馬隊の主力が向かっておるな」
政宗は既にこのこ
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