第五十話 明かされる真実その九
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「幾ら博士でもね」
「ご存知ないこともあるわね」
「この世の知識は膨大よ」
それこそだ、大海の如きものだというのだ。
「だから幾らあの人でも」
「まあある程度聞けたらな」
薊は自分の弁当の中の鮭のほぐした身で御飯を食べつつ言った、御飯はいささか酢が聞いていて鮭ともよく合っている。
その味も楽しみつつだ、こう言ったのである。
「それでいいさ」
「ある程度で」
「ああ、全部知りたいっていうのはな」
それこそというのだ。
「ベストだけれどな」
「人が知っていることはある程度だから」
「だろ?人間って小さいものだろ」
薊は自分の持論も出した。
「だからさ」
「それでなのね」
「ある程度ならさ」
「いいのね」
「妥協っていうかな」
ここでこんなことも言った薊だった。
「それでもある程度でいいさ」
「そうなのね」
「完全にわかればベストだよ」
まただ、薊はこう言った。
「けれど世の中中々そうはいかないからな」
「だから薊ちゃんは」
「ある程度ならいいさ」
笑ってだ、薊は黒蘭に述べた。
「それでな」
「そういうことなのね、それじゃあ」
「ああ、まずは神戸に戻ってな」
それから智和に会い博士のところに行こうというのだ。こう話してだった。一行は横須賀から神戸まで電車で戻った。
そして神戸まで戻ってだ、すぐにだった。
一行は智和の家正確に言うと屋敷まで行った、そのうえで。
智和に詳しい話をした、すると。
智和は確かな顔でだ、薊達にこう言った。
「メールでは聞いていたけれどね」
「詳しい話を聞くとか」
「凄い話だね」
冷静な顔だがそれでもだ、智和も声に微かにではあっても驚愕の色を見せていた。
「君達が人造人間でね」
「怪人連中もな」
「その君達と同じ人造人間でね」
「造っているのはカリオストロ伯爵なんだよ」
「あの伯爵のことは僕も知っていたよ」
智和もというのだ。
「謎の多い、詐欺師だってね」
「先輩もそう聞いてたんだな」
「うん、けれどその実は違っていて」
「本物の錬金術師だったんだな」
「そちらの説通りに」
「しかもな」
それに加えてとだ、薊は言った。
「その錬金術を極めてるんだな」
「間違いなくね」
智和は鋭い目で薊の問いに答えてだ、薊達に話した。
「だから何百年も生きられて生命も生み出せる」
「そうだね」
「あと金もか」
何を為すにもこれは必要だ、例え錬金術にしても道具や素材を集め使う為にはそれが必要になるのだ。
「それも」
「そもそも錬金術はね」
「黄金を生み出すものだよな」
「だから錬金術を極めるとね」
「金の心配はいらなくなるな」
「本来の目的だから、そしてその目的は実は副次的なもので」
錬金術
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