第五十話 明かされる真実その八
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「サン=ジェルマン伯爵もよね」
「ああ、あの人もな」
「伯爵よね」
「一緒に聞こえるな」
薊はここでカリオストロ伯爵とサン=ジェルマン伯爵を同一視した。伯爵という言葉が二人に被さるからだ。
だがその薊にだ、菖蒲は言った。
「伯爵というのは爵位よ」
「ああ、貴族の」
「だから。貴族の階級としてはわりかし高いけれど」
それでもだというのだ。
「結構いたから」
「それじゃあか」
「そう、爵位が同じであるだけよ」
「二人は一緒じゃないか」
「別にね」
そうだとだ、薊に話すのだった。
それを聞いてだ、菊も言った。
「じゃあ二人は別に同じ立場でもないのね」
「また違うわ」
菖蒲は菊にも話した。
「そこは」
「そうなのね」
「それにカリオストロ伯爵は」
彼についてだ、菖蒲はこう話した。
「伯爵というけれどその爵位を本当に受けていたのかわからないのよ」
「じゃあ騙ってたの?」
「詐欺師と言われているわ」
実際にとだ、菖蒲は向日葵にも話した。
「錬金術師じゃなかったという説もあったわ」
「そうだったのね」
「ええ、けれど錬金術師ということはね」
「はっきりしたわね」
「そのことはね」
しっかりと、というのだ。
「わかったわね」
「うん、そして私達のことを知っていて」
「敵であるということも」
怪人を造り襲わせている、それ即ち敵だというのだ。
だが敵であるにしてもだ、菖蒲はこのことにも言及した。
「ただ。それでも」
「そうよね、何でカリオストロ伯爵が私達の敵か」
「そのことがわからないわ」
「私達を生み出した方のことも気になりますし」
桜も話に加わってきた、見れば桜は蟹弁当を食べている。菖蒲は中華弁当、菊は助六寿司、向日葵はお握りである。
「そしてその伯爵さんも」
「あらゆることがね」
「まあカリオストロ伯爵は錬金術の間で有名みたいだから」
鈴蘭はサンドイッチ弁当を食べつつ述べた。
「博士ならね」
「よく知っている可能性が高いわね」
「そうよね」
こう菖蒲にも答えた。
「あの人なら」
「そう思うわ、私も」
「神戸に戻ることが待ち遠しくなったわね」
菫は不敵に笑ってその目を鋭くさせた、幕の内弁当を食べつつだ。
「色々と」
「そうね、ただ」
「博士でもなのね」
「ご存知ないことがあるかも知れないわ」
如何に博士といえど、というのだ。
「あの人でも」
「そうね、幾ら博識でも」
「人は人よ」
菖蒲がここで言った言葉はこうしたものだった。
「万能、全知全能ではないわ」
「そうね」
黒蘭は菖蒲のその言葉に頷いた、穴子弁当を手にしつつ。
「人はね」
「その知識は所詮僅かよ」
「大海の中の小匙一杯ね」
「そうでしかな
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