第五十話 明かされる真実その二
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「結婚とかな」
「ううん、そうかしら」
裕香は薊の言葉に考える顔で返した。
「私は別にね」
「普通だってのかい?」
「ええ、だって誰でもね」
「結婚してか」
「子供出来るじゃない」
それこそ自分にその気がないか縁がなければというのだ。
「だからね」
「あたしもお母さんになれるんだな」
「それでどんな人がタイプなの?」
裕香の顔は自然と微笑みになった、そのうえでの薊への問いだった。
「薊ちゃんは」
「えっ、そんなこと聞くのかよ」
「うん、駄目?」
「いや、駄目じゃないけれどさ」
それでもとだ、薊は顔に出していた。
「そんな質問考えてなかったから」
「びっくりしてるわね」
「ああ、かなりな」
「それでどんな人がなの?」
裕香は微笑んだままで薊にまた問うた。
「薊ちゃんは」
「そうだな、浮気しなくて暴力とか振るわなくてな」
「そうした人がなの」
「タイプだな、あと優しかったらな」
「充分なのね」
「性格はな」
「外見は?」
裕香は薊にさらに問うた。
「どんな人がタイプなの?」
「外見か」
「そう、どんな感じの人なの?」
「俳優で言うと要潤さんか」
「背が高くてしっかりした顔立ちの人ね」
「あたし結構背が低いからな」
そこからだというのだ。
「背の高い人がな」
「好きなのね」
「どっちかっていうとな、ただな」
「やっぱり一番大事なのは性格よね」
「意地悪い奴も駄目だぜ」
このことも言い加えるのだった。
「暴力とか浮気とか論外だよ」
「確かにね。けれどね」
「世の中そういうことする奴多いよな」
「よく聞くわね」
「ほら、酔って彼女の人や奥さんや子供に暴力振るう奴」
所謂DVだ、深刻な社会問題の一つだ。
「そういう奴は最低だって思ってるよ」
「いるわね、そういう人」
「院長さんにも師匠にも言われたよ、いつも」
先程までいた薊にとっての故郷である横須賀にいた二人にというのだ。
「あたしの拳は自分を、他の誰かを守る為のもので」
「そんなことに使う為のものじゃないわね」
「暴力は駄目だってな」
「そうよね、本当に」
「いるだろ、学校の先生とかヤクザ屋さんとか」
ヤクザはまだ市民に暴力を振るったことが公になれば逮捕される、しかし学校の教師が生徒に暴力を振るっても公にはなりにくいしなってもそこで逮捕されるかというと中々そうはならないのが戦後日本のおかしな点である。
「そういう奴になるなってな」
「本当にその通りね」
「心のない力は暴力でな」
そして、と言うのだった。
「抵抗出来ない相手、自分よりも力が弱い相手に振るうのも」
「暴力よね」
「あたしの拳は暴力を振るう為にあるんじゃない」
「そう言われてきたのね」
「だか
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