第九幕その五
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「これからね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「あそこは今はお花が物凄く咲いていて奇麗だから」
「あら、そんなになの」
「そう、もう色々な種類の花が咲いててね」
それこそという口調で、です。族長さんはベッツイにお話します。
「もう本当に奇麗だから」
「そこに行けば」
「もううっとりする位なんだ」
それでというのです。
「行くと是非ね」
「観て楽しめばいいのね」
「そう、そうすればいいから」
だからだというのです。
「楽しんでね」
「わかったわ、真実の池はそうなっているのね」
「それだと」
そのお話を聞いてです、アンは少し心配そうに言いました。
「お花を見付けることが大変そうね」
「お薬になるお花ね」
「ええ、そんなに咲いているのなら」
「そういえばそのお花はどうしたお花ですか?」
ナターシャはそのアンにこのことを尋ねました。
「真実の池に咲いているとは聞いていますけれど」
「あっ、形は菖蒲でね」
「菖蒲ですか」
「それで色は銀色なの」
「銀色の菖蒲ですか」
「それがそのお花なの」
ウーガブーの国で熱にうなされて寝込んでいるその人のお薬にな花だというのです。
「そう聞いてるわ」
「銀色の菖蒲ですと」
「見付かるかしら」
「はい、そうしたお花は珍しいですから」
だからだというのです。
「それにここはウィンキーの国ですから」
「何でも黄色だから」
「お花もそうですよね」
「ああ、池のお花は殆ど黄色だったよ」
族長さんもこう言ってきました。
「菖蒲だけじゃなくて菫や百合、風信子もあるけれど」
「どのお花もですか」
「黄色なんですね」
「それでその中で銀色となりますと」
「目立ちますね」
「それもかなり」
五人の子供達はそのことを聞いて言うのでした、それでなのです。
ここで、です。五人でなのでした。こうお話をしました。
「黄色の中の銀色」
「それを探せば」
「簡単に見付かるね」
「これは目立つよ」
「案外楽かも」
「その通りね」
アンも五人のお話を聞いて頷きます、そして。
ベッツイもです、確かな声で言いました。
「じゃあ真実の池に行けば銀色よ」
「銀色を探せば」
「すぐに見付かるわよ」
ベッツイに言います。
「銀色の菖蒲ならね」
「そうね、面白いこと聞いたわ」
アンもベッツイの言葉に頷きました。
「ウィンキーの特徴がここでも出るわね」
「何でも黄色ですと」
ナターシャが言うことはといいますと。
「目立たない色は黄色ですね」
「黄色の中に黄色いものがあってもね」
「見つかりにくいですね」
「そう、私達にしても」
ベッツイは自分達のことにも言及しました。
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