第五章
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「それでわかるのよ」
「嫌な話やな」
「ほんまじゃのう」
「野球は予想通りにはいかん」
「そういうものじゃな」
「世の中全部そうよ」
予想は予想に過ぎないというのだ。
「実際は違うものよ」
「やれやれやな」
「そういうものじゃな」
「そう、じゃあわかったら今日位静かに観なさい」
その野球の試合をというのだ。
「わかったわね」
「まあ試合は観るし」
「予想は予想ってことじゃな」
二人も予想のことは納得した、それでとりあえずは御飯を食べてだった。
試合を観戦した、寿も千佳もネット観戦だった。そしてそれぞれの試合が終わってだ。寿はすぐに外に出てダッシュで一時間走ってだ。千佳は最近はじめた空手の型を汗をかいてしてだった。そのうえで机に戻って教科書やノートを開いた。
そして翌朝だった、千佳は登校してクラスメイトに言った。
「昨日はよかったわ」
「機嫌ましになったわね」
クラスメイトは千佳の口調から述べた。
「よかったじゃない」
「勝ったからね」
完全ではないがほっとはしている顔だった。
「昨日は」
「それで順位も上がったし」
「よかったわ」
「何よりね、それで阪神もよね」
「そうそう、そっちも勝って」
「お兄さんも機嫌よかったでしょ」
「そうなのよ、朝もうこれで本気を出してって五月蝿かったわよ」
それが朝の兄だったというのだ。
「困ったことにね」
「それは何よりね。ただね」
「ただ?」
「まあ優勝はね。このまま調子をあげたカープがね」
「優勝するっていうのね」
「そうなっていきたいわね」
「そこでいきたいのね」
クラスメイトは完全に浮かれてはいない千佳の状況を見て彼女に言った。
「阪神ファンならテンションだだ上がりなのに」
「お兄ちゃんはね、けれどね」
「あんたは違うのね」
「ずっとBクラスだったから」
「だからなのね」
「仕方ないわ、まあそれでもね」
「昨日勝ったからよね」
このことを千佳に言うのだった。
「そういうことよね」
「ええ、いい勝ち方だったし。このまま少しずつよ」
「そうしていくのね」
「まあ予想通りじゃないけれどそれでも勝ってね」
昨日母にお好み焼きを食べながら言われた言葉も思い出した。
「クライマックスにも出てね」
「それにも勝って」
「日本シリーズ出たいわね」
こう言うのだった、千佳は予想通りの状況ではないがそれでも諦めてはいなかった。クラスメイトはそんな千佳を見てだった。
笑顔でだ、彼女に言ったのだった。
「少なくとも千佳ちゃんもお兄さんも本当のファンね」
「カープへの?」
「お兄さんは阪神へのね」
「そうなの」
「ええ、そこまで好きで応援してるのならね」
「それならなの」
「じゃあ十年
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