第三章
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「六甲おろしは日本第二の国歌にすべきや」
「毎日聴いてるじゃない」
「一日百回は聴かんとあかん」
「耳がおかしくなるわよ、そこまで聴いたら」
「おかしくなってもええ、とにかく阪神今年は優勝やったんや」
「予想ではね」
「それが何じゃ」
阪神の現状を鑑みてだ、寿は嘆いた。彼の妹と同じ様に。
「負けてばっかりやないか」
「今年投手陣今一つよね」
「何でや、どれだけ打線が打たんでもピッチャーはよかったのに」
「それがね」
「あかんわ、しかも抑えたらな」
「ピッチャーが頑張った試合はね」
「打たんわ」
まさに予定調和でだ。
「あかんわ、こんなんやったらあかん」
「それじゃあどうしたらいいの?」
「防御率は二点代前半、多くは言わんわ」
「多いじゃない、二点の前半って」
「阪神のピッチャーの実力だったらな」
それこそというのだ。
「あかんわ、予想やったら優勝やったのに」
「四位ね」
「和田監督頼むわ」
「とにかく今日はお好み焼きがいいのね」
「それ頼むわ」
「いいわ、安いしね」
作るにだ、それでこの日の夕食はお好み焼きになったが。
千佳はそのお好み焼きを見てだ、まずはケチャップをかけて言った。
「やっぱりこれじゃ」
「お好み焼きにケチャップかい」
「赤やからのう」
こう兄に返すのだった。
「これしかないやろ」
「ソースやないんか」
「赤しかないわ」
「そうか、黒と黄色にせんのやな」
「わしはそうじゃろが」
「そやな、けど今日阪神は勝つわ」
「勝ったらええじゃろが、こっちも勝つわ」
今日阪神も広島も試合があるが阪神の相手は中日だ。それに対して広島の相手は巨人だ。お互いにぶつからない。
それでだ、千佳はこう兄に言ったのだ。
「勝ってくるんじゃ」
「そうしてくるわ、巨人叩きのめすわ」
「ほんまに叩きのめしてこい、巨人はな」
「全く、巨人の二位はある程度予想してたけどのう」
千佳はカープを一位として考えていたのだ。
「けどカープはのう」
「頑張らんかい、巨人位倒せや」
「そっちこそじゃ、前八対零で負けたじゃろが」
「あれはあかんかった、ほんま情けないわ」
「応援はせんが勝つんじゃ」
「カープ以外にはっちゅうんやな」
「そや、カープ優勝ちゃうんか」
そのケチャップで真っ赤になった大阪風のお好み焼きを食べながらだった。千佳はぼやいた。
「それがのう」
「こっちもじゃ、阪神優勝ちゃうんか」
寿は毎年春になると関西中で出される予想からこう考えていた。
「それが何やねん」
「辛いな、そっちも」
「お互いにな」
「全く、あんた達はね」
父はまだ仕事から帰っていない、それで母が二人に呆れた顔で言うのだった。
「野球というかそれぞれのチーム好
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