九話:フェイト・テスタロッサ
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して、分史世界は正史世界の存続のために必要なエネルギーを奪うので正史世界存続の為に偽物の世界として壊すのが私達の仕事だった」
「世界を……壊す」
世界を壊す仕事という現実味のない話になのはは理解が追い付かずに呆然とする。だが、ルドガーとヴィクトルの説明に頭の回転の速いクロノとリンディは二人がどういった存在なのかを悟る。
「つまり……どういうことなんだい?」
「私は偽物の世界に生まれたあり得たかも知れない十年後の“ルドガー”で本物の世界のルドガーによって世界を壊された身だということだ」
その言葉に息を呑むアルフ。そして、全員がルドガーに目を向けるが彼は若干ばつの悪そうな顔はするものの真実から逃げるわけにはいかないとばかりに顔を真っ直ぐに上げて全員の視線を受け入れた。
「あの……壊された世界に住んでいた人はどうなるんですか」
ユーノが先程から気になっていた事をルドガーに質問する。ルドガーはユーノの質問にやるせなさそうに顔を歪めてぎゅっと手を握りしめるがこれは自分が背負っていかなければならない罪だと腹を括って短く答える。
「世界と共に消える」
「全て跡形もなくな」
ルドガーに続けてヴィクトルが自嘲気味に答える。その言葉をユーノは信じたくなかった。ユーノは何の見返りも求めずに自身を助けてくれた心優しい彼が大量殺人者など思いたくなかったのだ。だが、その思いは彼自身から否定される。
「俺はお前達が思っているような聖人君子じゃない。俺は自分の守りたい者の為に世界を壊し続けてきた、エゴイストなんだ」
「私はそのエゴイストにすらなれなかったのだ……そう卑下することもあるまい」
自分のしでかしたことに罪の意識は感じているもののその選択に一切の後悔はないことを聞く者に感じさせる声にヴィクトルの方がどこか後悔を感じさせる声でルドガーを庇う。二人の間に流れる不可思議な空気に耐えられなくなったのかなのはが口を挟む。
「ルドガーさんの守りたかった人って……どんな人なんですか?」
「そうだな……俺の大切なアイボーで―――」
「私の一人娘だ」
ヴィクトルの娘と言う言葉にフェイトが驚きヴィクトルを見つめる。そして、自分も彼の様な優しい親の元に、本物として生まれて来れていたらどんなに幸せだっただろうかと考え、ふと、ある事に気づく。彼は自身が偽物だと言った。実際目の前で瓜二つの顔を見せられると同一の存在であることを認めなければならない。だとしたら、そんな彼の娘もまた―――偽物なのではないのだろうか?
「でも、ヴィクトルさんの娘ってことはその子も……」
「分史世界の人間で………私が偽物と言ってしまった子だ」
深く、深く、懺悔するようにそう吐き出すヴィクトルにフェイトとアルフが信じられない物を見た
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