九話:フェイト・テスタロッサ
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
味も含まれているのではないのかと考えるが、所詮は想像でしかない。結局の所は直接プレシアから真意を問いたださなければならないだろう。
しかし、今すべきことはプレシアに聞きに行くことではなく、心の壊れた少女を立ちなおさせることだ。茫然自失の状態で目から光を失い、まるで本当に人形になってしまったような少女にヴィクトルは声を掛ける。
「……フェイト、確かに君はアリシアのクローンで―――偽物だ」
「あんた、何を―――」
「黙っていろ、アルフ」
突如としてフェイトの傷口に塩を塗り込むような発言をしたヴィクトルにアルフが噛みつこうとするが今まで聞いたこともない重い声で黙るように言われて思わず尻尾を丸めて震えてしまう。そんな様子に悪い事をしたなと思いながらもヴィクトルは言葉を続けていく。
「君は偽物だったらそこで永遠にしゃがんで立ち止まっているのか? フェイト」
「……ヴィクトルさんには私の気持ちは分からない。本物の人には分からないよ…!」
「いいや……分かるさ。誰よりもな」
フェイトの悲痛な声にも動じずにヴィクトルは落ち着いた声で返す。その言葉を聞いていた者達はどういう意味だろうかと不思議そうにヴィクトルを見つめるが、ただ一人ルドガーだけは彼が何を話そうとしているのかを察して意味あり気に目配せをする。
「お前……話すのか?」
「ああ、こうなった以上隠す必要もない。それよりもそっちの方こそいいのか?」
「俺も構わないよ。俺もいつかは話さないといけない事だったしな」
何を話そうとしているのかと二人に視線が集中し、フェイトまでもがおぼろげな目をしているものの顔を上げている。ヴィクトルはそんな視線に少し苦笑いしながら仮面に手を当て取り外す。まず、あらわになる化け物の様な顔の右半分に彼を知らぬ者が息をのみ、続いて明かされた左半分の顔に全員が驚愕の声を上げる。
「ど、どういうことなの…? なんで、ルドガーさんとヴィクトルさんの顔が……」
「改めて自己紹介をしよう。私の本当の名前は―――ルドガー・ウィル・クルスニク。偽物の彼さ」
告げられた衝撃の言葉に誰もが声を出すことが出来なかったが、やがてユーノが意を決して尋ねる。
「あなたはルドガーさんの……クローンなんですか?」
「クローンとは少々違うな。そもそも年齢で言えば私の方が年上だ」
「どういうことなの?」
自身を偽物と言うにも関わらずクローンでもなくあげくの果てには自分の方が年上だと話すヴィクトルに一体どういうことかとなのはが問いかけるとそれにルドガーが答える。
「俺達が前にいた世界は本来の流れである正史世界とそこから枝分かれするように存在する分史世界……あり得たかもしれない、あり得るかもしれない可能性の世界があったんだ」
「そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ