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少年と女神の物語
第百十三話
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るしかねえ」
「へえ、不死を無効化できるようなものがあるのか?」
「意味をなくす、ってんならどうとでもなるんだよなぁ、これが」

 そう言って笑う九人目は、次の瞬間体が一回り大きくなる。巨大化したといえるほどではない微妙な変化なんだが・・・なんだ、あれ?

「ハァ、ハァ・・・これ、は」
「あ、梅先輩。危ないのであんまり近づかないでくださいね」

 と、そのタイミングでなぜか梅先輩が来た。出来ることなら危ないから下にいてほしいんだけどなぁ・・・でも、家が燃えてたら気になるか。

「それは、分かりましたが・・・一つ、報告することがあります」
「手短にお願いします」
「では、手短に。周囲の民家の全てから人間がいなくなっています。状況からその場にいて生活していたのは明らかなのですが、血痕は存在しません」

 それは・・・変だな。どこかに出かけるのであればその辺りはちゃんと片づけてから行ったはずだ。にも拘わらず、全部あるとのこと。何か勘違いしているのかと思って梅先輩の頭の中をのぞいてみるものの、勘違いなどしていない。『つい一瞬前まで生活していたような状態なのに、人がいなくなっている』。それが、周辺の全家庭で。なら、原因は何なのかと言えば・・・

「・・・オマエ、何かしたな?」
「ま、そうだな。しっかりといただいたぜ?」

 こいつが持っていると思われる、吸血の権能。血痕が存在しなかった以上、血は全て吸い尽くしたのだろう。俺たちの推測が正しければ、子供の血を。じゃあ、その子供の体と大人はどこに行った?あいつは、『いただいた』、と・・・

「・・・我は血を吸う。飲みし血は我が肉となり骨となり、我が身体となる」

 明らかに、今のが吸血の権能の言霊だ。この場で吸うのだとは考えづらいから、前もって吸っていたもので発動するのだろうか?なんにしても、多少の注意が必要だ。なんか今にも突っ込んできそうな感じで構えてるし。
 なので、俺も対応するために構えるが・・・

「我は巨大なる者。我が喰らうは小さき者の肉。喰らいし肉は、我が力へ!」
「そういう、ことか・・・!」

 九人目の唱えた言霊に気をとられ、防ぐので精一杯になってしまう。言霊から考えて、おそらくは巨人に関する何かによる権能。そして、発動するには『肉を喰らう』必要があった。それで、周囲の家の人間を食い尽くした。一体どこまで強化されてるのやら・・・怖いもんだな。

「さて、行くぞ神代武双!」
「こっちに来ないで冥府にでも行って来いよ!」

 踏み込みは、同時。同じタイミングで武器を構え、踏み込んだのだが・・・九人目のほうが、動きが遅い。その分勢いをつけてしまった俺が先に真中を過ぎ、それでも勢いは止まらず・・・

「その者は生涯に一度、癒えぬ傷を負う。我、
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