第百十三話
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とを考えていても仕方ないので・・・思いっきり殴りかかる。当然ながら防がれ殴り返されるが、こちらも腕で防ぐ。外に流すようにして腕を払ったので、そのままマリーに教わった通り相手を自分が回る動きに巻き込んで・・・
「あとは勢いよく、投げ飛ばす!」
鳥居に向けて投げ飛ばして、そこにぶつかるのと同時に豊穣王で植物を操って縛り付ける。そう長い時間を稼ぐのは無理だろうが、そこまで時間は必要ない。いまだ燃えている社の中に入り、梅先輩の両親を抱えて再び社の外に出る。二人さえ連れ出せればもう誰もいないはずなので燃えているものを火ごとまとめて拳圧で吹き飛ばし、消火活動を終える。いや、これを消火と言っていいのかどうかは知らないけど。
あとは、医薬の酒を使って酒樽を召喚し、二人にまとめてぶちまけてから蚊帳吊り狸で異世界に落として終了。そのまま振り返ると、当然ながら九人目は植物による呪縛から解放されていた。その右手には、黄金の柄を持つ魔剣が・・・ティルヴィングが握られている。
「俺を捕まえといて何をするのかと思えば、真っ先に救助に向かうとはな・・・オマエ、本当に神殺しか?」
「しっかりと神殺しだよ、俺は。さすがに知り合いをこのまま見捨てるのは目覚めが悪かっただけだ」
そう返しながら、再びブリューとボルグを出して構える。あいつが持っているティルヴィングは『錆びることはなく、鉄をも切り裂き、狙ったものを外さない』という性質をもっている以上、これくらいの武器でないと対応することすらできない。けど、願いのほうを使われたら対応するのが難しくなるし・・・
「・・・その魔剣ティルヴィングは、北欧神話に登場する王『スウァフルラーメ』から簒奪したものだな」
「・・・なんでそうだと言い切れるんだ?確かにこいつはティルヴィングだが、持ち主はスウァフルラーメだけじゃないだろ?」
「ま、確かにそうだな」
確かに九人目の言うとおり、ティルヴィングを所有したものはスウァフルラーメだけではない。彼の王以外にもアルングリムやアンガンチュール、ヘルヴォルにヘイズレクなど、複数人存在する。普通ならここからどの神から簒奪したのかを特定することは難しくなるだろう。だが・・・情報は、これだけではない。
「けど、お前はその魔剣で“願いを叶える”以外のことを行った。鍛冶神である蚩尤の権能を操ったよな?」
「あー、やっぱりあれでバレたか」
そんなことを言いながらも、こいつは何が楽しいのか笑っている。別にバレてもいいとか考えてるんだろうな。実際問題、それがわかったところであの魔剣に対応するのは無理だし。
「あの時のオマエの言霊は、『我が汝を奪いし主の持つ逸話よ』だった。それはつまり、お前がティルヴィングを簒奪し
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