暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「傘の差し方」

[8]前話 [2]次話
 雨が降っている。狭い往来で、ふと僕は傘をかしげた。すれ違う人は、傘を高く上げた。そうやって、互いに譲り合って、狭い道を通り合う。なんて事ない心遣いなのだが、そういえば傘をそうするように習ったのはいつの頃だろうか?僕は記憶を振りかっていくのだった。

◇◇◇

 小学校1年生の時、持ち物の中に「黄色い傘」があった。交通安全用の黄色い傘だ。入学前には親父が、柄についてる名札に名前を書いてくれていた。小学校入りたては雨が降る日がなく、いつ使えるのか楽しみだった。
 傘は保育園から使っていた。その時は、青い傘だった気がする。その時は、傘の使い方はならったかな?
 ああ、思い出した!傘をクルクル回して水滴を飛ばして遊んで歩いていたら、婆ちゃんにダメだって注意されたなあ。多分、その後だから、やはり親父が傘に名前を書いてくれた時だろうか?

「ミズキ、狭い道では、向こうから人が来たら傘を横にずらすか、高くあげるんだよ」

 と、親父が傘の使い方について教えてくれた。その事は爺ちゃんにも話した。

「お父さんが狭い道では、傘を横にしたり高くあげるんだって言ってたよ!」

 と、僕が報告すると……

「おっ、ゆずり傘だね!」

 と、爺ちゃんが教えてくれた。

「ゆずり傘って?」

「譲る傘って事で、傘がぶつかり合わないように、互いによけ合う事だよ。そちらからどうぞ!て感じに」

 僕はそれを聞いて、なるほどそういうもんかあ!と傘の使い方について思ったのだった。
 それからは街の中、傘を傾けたり、上げている人をみると、誰かに習ったんだなあ〜と思って、なんか面白い気持ちになったのだった。

おしまい

[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ