「紫陽花とデンデンムシ」
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「デ〜ンデン、ム〜シムシ、カ〜タツムリ」
と、歌いながら友達のカラが、公園の端にある紫陽花の葉っぱの裏を見ていた。小学校1年生の時の話しだ。何をしているのか分かっている僕は……
「カラ、いた?」
と、聞くとカラはニヤリとして……
「いたいた!」
と、結構デカいカタツムリを捕まえていた。紫陽花の葉っぱの裏には他にも沢山いて、僕もカタツムリを捕まえた。
「ミズキ、カタツムリでレースしようぜ!」
僕らは早速、滑り台を使ってレースをした。先に下まで行った方が勝ちだ!ノッタリクッタリ、歩くカタツムリ。 とはいえ抜きつ抜かれつのレースは面白かった。レースが終わったら、カタツムリにエサをやった。もちろんエサは紫陽花の葉っぱだ。
「おーい、何してんだよ!?」
頭を上げるとカミがやって来た。今いる三角公園はカミの家の、はす向かいにあった。
「カタツムリで遊んでんだよ」
と、カミに説明した。カミも一緒にカタツムリレースを楽しんだ。そのあと駄菓子屋に行った。
「そうそう、カタツムリって糸の上も歩けるんだぜ」
と、駄菓子を食いながらカラが言った。口には、長い糸のついた飴を舐めていた。また公園に行きカタツムリで遊んだ。飴についていた糸にカタツムリをのせた。両手の間の糸をカタツムリは、ノッタリクッタリと歩いて行った。
「そういや、カタツムリって、刃物の上も歩けるんだぜ」
今度はカミが言った。
「本当?斬れちゃうんじゃないの?」
と、僕が言うと……
「本当だって!俺、内緒で親父の日本刀で試したから」
と、カミは言っていた。早速、カミの家に行ってやって見る事になった。
「ほら、乗せてみろよ!」
カミは押し入れから、白鞘の日本刀を出して抜いた。ギラギラ光る日本刀の刃の上に、カラがカタツムリを乗せた。
「あっ!歩いてる」
「なっ、ミズキ!本当だろ?」
カミは、日本刀にカタツムリを乗せたまま、ニッカニカと笑っていたのだった。
おしまい
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