暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「カーテン」

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 僕は、夏少し前の風が好きだ。ベランダの窓を開けていると、家の中でカーテンがフワッと膨らんだ。その様子を見ていると、僕は記憶は小学時代へとさかのぼるのだった。

◇◇◇

 本格的な夏になるまえの、特に授業中、学校の窓から入る風が大好きだった。授業中に教室に入ってくる風は『何してるの?』って感じで、窓から入って来る。
 フワッと暖かい風に、包みこまれると、なぜだか安心し、ずっと包まれていたい気持ちになった。僕は授業を忘れて『この風をつかまえたい!』思った。

手ではさんでみた。
手を振ってかきまわしてみた。
肺の奥まで、吸い込んでみた。

 そんな事をしていると、それを見た友達のウッチーが……

「ミズキ、何してるの?」

 と、聞いてきた。

「いや、風がつかまえられないかなって思ってさあ」

 と、僕が答えると、ウッチーは真顔でカーテンを指差した。

「なるほど!」

 カーテンはさっきから風に揺れていた。さっそく、しばってあるカーテンをひろげた。学校の窓は、下に小さな小窓があった。僕は、カーテンを広げると両端を小窓の端にはさんで閉めた。するとカーテンは、帆船の帆のように、バサッとふくらんだ。僕は、船が走る姿を想像した。

日差しに照らされ、やわらかく光るカーテン。

 僕は『風をつかまえた!』と思ったのだった。

おしまい

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