「砂山A」
[8]前話 [2]次話
「ねえ知ってる!?本栖湖と山中湖は地下がつながっていて、モッシーがいるんだぜ!」
と、急にチョボオが言った。
「バカ!本栖湖と西湖だろ?山中湖は、反対側だぜ!」
と、ウッチーは反論した。僕は気になったので、ランドセルから社会の地図帳を出して確認した。確かに、本栖湖と西湖は隣りで、山中湖はずっと向うだった。さすがはウッチー、富士五湖製作者だ!
「分かったよ、ウッチー!だけど、なんでモッシーなんだ?サッシーでもいいじゃん!」
と、チョボオはまた訳の分からん事を言っていた。そんなやりとりの間に、富士山は出来上がり、富士五湖もそろった!ちょっと離れて見てみるとナカナカの造形だった。気付くと下級生たちが、いつの間にかに集まって来た。
「すげー!」
「富士山だぜ」
なんていうつぶやきが聞こえ、気分が良かった!
「こら〜、またお前らか!ちゃんと元通りにしておけよ〜!!」
向こうから、用務のオジサンがやって来た。
「しまった!」
カミが、かたわらにおいたランドセルに手を伸ばす。
「みんな逃げろ〜!」
えっ!?逃げんの?わっ、ウッチーやテラコまでランドセル持って!?ちょっと待ってくれ〜。僕らは、ランドセルを担いで、校庭の端の閉まっている門を乗り越え逃げ出したのだった。
後日……僕らは、担任の先生にコッテリしぼられた。理由は砂山を作った事ではなかった。むしろ砂山は褒められていた。下級生たちに良い影響を与え、図画工作の粘土細工では、見ていた子たちが持ってる粘土を全部使ったりと、ダイナミックな造形をしだしたからだ。
僕らが叱られた理由……それは逃げ出したからだった。先生に叱られ、そのあと用務員室に行った。
「逃げ出してゴメンなさい」
と、6人で用務のオジサンに謝った。
「良く謝りに来たね!砂場はみんなの知ってる通り、授業で使うから、どの道片付けなきゃ行けないし、片付けるなんて簡単だけどさあ。オジサンはね、オジサンがあの富士山を壊すのが嫌だったんだよ。良く出来ていたもんなあ。だから、みんなに片付けてもらいたかったんだよ」
と、オジサンは言ったのだった。僕らは……
「そっかあ」
と、深くその言葉の意味を考えたのだった。
おしまい
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ