暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「砂山A」

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「ねえ知ってる!?本栖湖と山中湖は地下がつながっていて、モッシーがいるんだぜ!」

 と、急にチョボオが言った。

「バカ!本栖湖と西湖だろ?山中湖は、反対側だぜ!」

 と、ウッチーは反論した。僕は気になったので、ランドセルから社会の地図帳を出して確認した。確かに、本栖湖と西湖は隣りで、山中湖はずっと向うだった。さすがはウッチー、富士五湖製作者だ!

「分かったよ、ウッチー!だけど、なんでモッシーなんだ?サッシーでもいいじゃん!」

 と、チョボオはまた訳の分からん事を言っていた。そんなやりとりの間に、富士山は出来上がり、富士五湖もそろった!ちょっと離れて見てみるとナカナカの造形だった。気付くと下級生たちが、いつの間にかに集まって来た。

「すげー!」

「富士山だぜ」

 なんていうつぶやきが聞こえ、気分が良かった!

「こら〜、またお前らか!ちゃんと元通りにしておけよ〜!!」

 向こうから、用務のオジサンがやって来た。

「しまった!」

 カミが、かたわらにおいたランドセルに手を伸ばす。

「みんな逃げろ〜!」

 えっ!?逃げんの?わっ、ウッチーやテラコまでランドセル持って!?ちょっと待ってくれ〜。僕らは、ランドセルを担いで、校庭の端の閉まっている門を乗り越え逃げ出したのだった。
 後日……僕らは、担任の先生にコッテリしぼられた。理由は砂山を作った事ではなかった。むしろ砂山は褒められていた。下級生たちに良い影響を与え、図画工作の粘土細工では、見ていた子たちが持ってる粘土を全部使ったりと、ダイナミックな造形をしだしたからだ。
 僕らが叱られた理由……それは逃げ出したからだった。先生に叱られ、そのあと用務員室に行った。

「逃げ出してゴメンなさい」

 と、6人で用務のオジサンに謝った。

「良く謝りに来たね!砂場はみんなの知ってる通り、授業で使うから、どの道片付けなきゃ行けないし、片付けるなんて簡単だけどさあ。オジサンはね、オジサンがあの富士山を壊すのが嫌だったんだよ。良く出来ていたもんなあ。だから、みんなに片付けてもらいたかったんだよ」

 と、オジサンは言ったのだった。僕らは……

「そっかあ」

 と、深くその言葉の意味を考えたのだった。

おしまい


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