第四話 情報戦
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続けに質問をした謎のプレイヤーはアルゴの反応だけを見て満足したようだ。
しかし、それはほんの些細な反応だ。ポーカーフェイスの得意なアルゴが、そんな簡単に相手に《情報》を渡すわけがない。
だが彼は、アルゴの動揺を狙って彼女の心を揺さぶった後に質問をし、反応をうかがった。
(こいつ……デキル……!)
《情報屋》としてのプライドを一瞬にしてズタズタにされたアルゴは、彼がもし《情報屋》として活動しはじめたら、おそらく自分の上を歩くのではないか、そう直感してしまった。
だからこそ、彼女の負けたくないという意識がこの言葉をーーーこの世界では聞いてはならない暗黙の了解となった言葉を口にした。
「アンタ、元テスターカ?」
言ってから、しまったとは思ったものの、後悔はしていない。少しでもボロが出るならそれを情報にして売りさばくつもりで返答を待った。
「いんや、バリバリの新規だ。ベータテスターに羨望の眼差しを送る一MMOプレイヤーだよ」
やけにアッサリと答えてくれたことに意外感を覚える。答えたらそれが情報になるのは分かっているはずだ。
なにせ彼は見事にアルゴの弱点である「プライド」を人質に質問をするような男だ。
第一の質問、「アニールブレード+6」のことを訊いてきたということは、現時点でそれを持っているキリトと、それを買おうとしているキバオウの二人の関係を知っているということだ。
それを彼ら二人に情報として売れないことはない。しかし、それをしようとするならば、「アルゴが情報を金でない方法でこぼしてしまった」ということを説明せざるを得ない。
そんなこと、《情報屋》としての信頼がガタ落ちする原因になりかねない。
第二の質問「最西端の村の秘クエ」ですら、彼女は“知らなかった”。
《情報屋》として“知らない”というのはこれまた信用がなくなってしまう。
それを熟知した上で、彼は訊いてきているーーーはずだ。
「そ〜んなおっかない顔すんなって〜。美人が台無しだぜ?」
「な、殴りてェ……」
悠々とした態度をくずさずアルゴを挑発する彼に、だんだんと緊張が解けていき、むしろ怒りがこみ上げてくる。
「さて、訊きたいことは訊いたし、俺帰るわ〜」
よっと、と言いつつイスから跳ね起き、アルゴの隣を通って行こうとする。
が、アルゴはそれを許さない。《情報屋》のプライドにかけて、このまま引き下がるわけにはいかない。
「本当に帰っていいのカ?オレっちはアンタの情報全てを売れるんだゼ?」
「ああ、いいよべつに。なんなら名乗っといてやろうか?俺はリュウヤだ。しがないソロプレイヤーのリュウヤ。覚えといてくれよ、《鼠》のアルゴさん」
間近で聞く彼のーーーリュウヤの声に、アルゴは一つ確信を得た
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