第2章 ヘンシェル星系攻防戦 中編 殺戮の嵐
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つまり敵を引き付けておくために1個分隊近くの抵抗戦力が必要であった。
私はこの生贄分隊に自分から志願したが、中将は
「お前は若すぎる。お前と一緒だとあの世の息子たちに俺たちと同い年のガキと一緒じゃなきゃ怖くてこれなかったのかい?
って笑われる。」
と言って、退けられた。
ケイン中将には2人の息子がいたが、一人は宇宙艦隊戦で、もう一人は地上白兵戦でなくされていた。そういえば、ケイン准将の2人の息子さんも私と同い年だったんだよなと思いながら、脱出用の装甲車に乗り込んだ。
そうして、ケイン中将以下8名が宇宙港防御陣地に張り付いた。
レナ准尉はもちろん宇宙港爆破ののち、数両の装甲車で引き返してケイン中将らを救出する予定であった。
そして、爆破予定時刻になり宇宙港のいかにも民間施設であるというような建物がTNTやゼッフル粒子等の大量の爆薬により吹き飛ばされた。その直後我々の脱出装甲車部隊は宇宙港を離れた。その途中何重にも張り巡らされた敵の防御網を突破したが、レナ准尉の乗る装甲車とわれらがおやじ殿が乗る装甲車は宇宙港に引き返した。
その後、宇宙港に攻め入る擲弾装甲兵を何人も跳ねながら宇宙港防御陣地に到達しケイン中将らを探した。が、そこには焼け焦げて、身元不明の5名の死体と頭部をきれいに吹き飛ばされた第2小隊のエド・ウィンザー伍長と腹部を負傷した星系本部幕僚のケン・マシューズ中尉、そしてケイン中将が倒れていた。
ケン中尉はもはや戦死。ケイン中将は何とか生きている状況だった。
「貴官ら、戻ってきたのか。馬鹿者・・・
早く離脱せい。この俺にかまうな。ここまで生きてきて十分だ。
私は多くの部下を失ってきたし、多くの敵を殺してきた。
騒がしい人生だったが、楽しかった。おれを置いて早くいけ。」
と切れ切れの声で言うケイン中将はどこか遠くを見ているようだった。
「ああ、ウェルナー、グレッグそう焦らせるな。
俺には最後にやることがあるんだ。」
中将には戦死した2人の息子が見えているようだった。
「ケイン准将!しっかりしてください!
あなたには、まだやってもらうことが多くあります。
こんなところで戦死されては困るのです!」
防御陣地外苑で警戒していたウィリアム1等兵が
「レナ准尉!敵がこちらに流れ込んできます!
准将を連れて早く離脱しましょう!」
すると、ケイン中将は
「シュナイダー、ゼッフル粒子発生装置とTNTと手榴弾をくれ。
最後の仕事をする。」
「准将それはいけません!
こんなところで、死なないでください!」
すると、今まで切れ切れだった中将の発声が
「シュナイダー!!
これは私の最後の命令である!
それらをとれ! 私によこせ!」と怒鳴り声になった。
いつもは、そんな口調をする人では中将はなかったはずだが・・・
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