はじまり(パート1)
[2/3]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
優斗「成長したんで」
俺はそう自信満々な表情で言ったのにもかかわらず、お母さんは顔を緩みながらおかしな眼差しを俺に向けてきた。
お母さん「ぷ、優斗が成長した?そんなことあるわけないじゃない。ぶ、ブフッ」
優斗「そんなに笑うなんてひど!せっかく我が息子が成長したというのに、なにも感じないの!?親だったら喜ぶべきでしょ!?」
お母さん「ご、ごめん、つい噴き出しちゃって。もう笑わないから。ブ、ブフッ」
優斗「結局笑ってるじゃん!」
お母さん「あ、ごめん。で、でも、こらえきれないのよ」
我慢して笑いをこらえているお母さん。
なにもこんな笑うのを我慢する必要があるのか?
息子が成長したっていうのに。
お母さん「キャハハハハ!ウフフフフ!」
優斗「背中を床にこすりながら笑わないでよ!見てるこっちが恥ずかしくなるじゃん」
そして俺の心の傷が笑うとともに深くなる。
お母さん「ほ、本当にごめん。でも、もうおもしろくておもしろくて……ウフフフフフフ!」
優斗「もういいです……」
俺はお母さんの言動に呆れつつ、目覚まし時計に目線を移動した。
優斗「し、7時50分!?はやく学校にいかないと!」
お母さんを論破しようと思ったのに失敗に終わり、10分も話していたなんて……お母さんはほっといて、制服に着替えて朝食食べて学校に行かなくちゃ。
俺は開け放たれたドアを通り過ぎ、階段を下りようと足を進めたとき
お母さん「ご、ご飯は……ブフ!食卓の上に……ブフ!あるから……ブフ!ね……ブフ!」
と腹を抱えながらも言い切るお母さん。
優斗「どんだけ笑ってるの!もうお母さんなんて知らないんだからね!」
俺はそう反抗し、ズトンズトンと階段を下りた。
朝食はいたってシンプル。食パンにバターをぬり、その上には砂糖を無造作にかける。これが実においしくて、毎朝飽きずに食べている。
「ごちそうさまでした」
それから急ぎながらもパジャマ姿から制服に着替え、玄関を出ようとしたとき
お母さん「優斗、今日は大事な試験があるんでしょー。ほら、お父さんのお守り」
と背後からお母さんの声が聞こえた。
優斗「お、ありがとう」
俺は後ろを向き、金色に輝くお守りを手に預け体を回転させる。
お母さん「テスト頑張ってね。もし五教科合計で三百五十点以上とったら、一つだけ優斗の言いなりになってあ・げ・る・か・ら・ね」
あ・げ・る・か・ら・ね、の言葉に悪寒が走った。
三百五十点以上で僕はお母さんに一つだけお願い事をすることができるのは嬉しいが、なにやらいやらしい方向に考えているような気がする。
優斗「うん、わかった。ありがとう。それじゃあ行ってきまーす!」
お母さん「
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ