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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
案内人とのひと時
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、少年は胸中で喝采を上げる。
ア
(
・
)
タ
(
・
)
リ
(
・
)
だ。
「あの用心深いシゲさんのことだ。きっと二の矢三の矢を僕達みたいに寄越してるとは薄々予想してたけど」
見事当たったねー、と。
不敵な笑みすら浮かべる少年は、もはや完全に会話の主導権を握っていた。
もともとシゲクニは《六王》の中で
参謀
(
ブレイン
)
のようなものだった。戦いの士気を挙げ、立てた作戦自体を遂行するだけの意思を攻略組全体に与えるヴォルティス卿と対を成し、あくまで冷静で冷淡で、時として冷酷に勝つためだけの戦略を導き出す謀略者。
眼前のことしか処理できないほど常に追い込まれているプレイヤー達の中でも、ことさら先を見据えていた者。
それが《老僧の千手》シゲクニ。
「お前ごときがあのお方の御心など――――」
「黙れよ狂信者」
耐え難いものを孕んだ声が返ってきたが、それにレンはそれ以上の言葉ではねのける。
「別に僕だってそんなに気にすることでもないと思うけどあえて言わせてもらうよ、おじさん」
調
(
・
)
子
(
・
)
に
(
・
)
乗
(
・
)
る
(
・
)
な
(
・
)
、と少年は続けた。
確かに、シゲクニとは過去何度か、
殺人者
(
レッド
)
と
法治者
(
ろくおう
)
という形で相まみえたことがあった。殺し合いにすら発展しかけたこともある。
別にそのことに対して不満とか恨みとかを意地汚く掲げるつもりはない。逆の立場ならば、自分だって躊躇なくそうするだろうし。
だがそれはそれ、これはこれだ。
自分達は今、そちらの無茶苦茶な要求を呑んで"やっている"側だ。相手がする理由こそあれ、レンまでへり下る義務はない。
再び黙ってしまった声に、レンは声をかける。
「……まー何にせよ、シゲさんからの
チケット
(
おくりもの
)
はきちんと有効活用させてもらいましたーとでも報告しといてよ。助かったのはホントだからさ」
あ、でもそっちからの依頼がなけりゃ
GGO
(
ここ
)
に来る必要もなかったってことだけは覚えといてね、と。
しっかり釘を刺してから少年はよりかかっていた壁から背を引き剥がす。
会話を切り上げようとするレンの行動に、しかし路地の声はまだ言葉を紡いだ。
「……冥王」
「まだなにか?」
「ネズミを追いかけるのはいい。それがお館様の望みなのだから。……だが、下手にモタついていると、空からタカが降ってくるぞ」
突然出た謎の言葉に眉根を寄せるレンに対し、声は苦笑した気配があった。
「いや……今のは失言だ。気にしなくて……いい。ただの経験則や勘のような曖昧なものだから」
「…………一応忠告として受け取っとこうかな」
その言葉を皮切りに。
会話は終わり、両者は別々の方向に身を投じる。
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