2部分:第二章
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第二章
「その再建の為の布施を集める為に。旅をしているとのことです」
「そしてこの関を抜けてだな」
「北に向かうそうです」
「怪しいな」
話を聞いてだ。富樫はすぐに察した。
「古来から山伏は何かと化けやすい」
「確かに。ごまかしが利くものですし」
「だからよ。もしや」
「その山伏達こそが」
「怪しいであろうな」
富樫はいぶかしむ顔で述べた。
「化けるにはもってこいだからこそじゃ」
「ではその山伏達は」
「しかと見る」
見逃さないと。そう言うのであった。
「わかったな。ではじゃ」
「はっ、参りましょう」
こうしてだった。富樫は家臣達を連れそのうえで山伏達を待ち構えた。するとだ。
関所にだ。その山伏の一団が来たのであった。
先頭にいるのはやたらと大柄な男である。そしてその後ろには小柄な男がいる。後ろにも何人かの男達が続いていた。それを見てだ。
家臣達がだ。ひそひそと囁いた。察してのことだった。
「あの大柄な男が」
「そうだな、弁慶であろうな」
「あの武蔵坊弁慶」
「それであろうな」
彼であると。察したのである。
「それとあの小柄な者は」
「義経公ではないか?」
他ならぬ彼ではないかというのであった。
「あれだけ小柄で」
「しかも身のこなしがどうもな」
「妙に素早い」
「尋常なものではないな」
「ではな」
「やはりあの二人は」
「それにじゃ」
今度はだ。彼等の後ろの者達を見た。その数もだ。
「四天王もおるのう」
「うむ、他の主だった家臣達も」
「数は同じじゃな」
「それではじゃな」
「そういえば」
ここでだ。家臣の一人があることに気付いた。それは。
「義経殿は鞍馬山で修業されていたが」
「ああ、あの天狗がいるというか」
「あの山か」
「そうじゃ。天狗は山伏の服を着ておる」
実際に山伏が天狗と間違えられることもあった。天狗と山伏は近い関係にあるのである。
「そこで山伏の服を借りてじゃ」
「そのうえで化けてみちのくに向かう」
「考えられるな」
「確かに」
こうひそひそと話す。そしてそうして話せばだった。
彼等は疑念を確信に変えた。目の前のその山伏達こそがだ。
「間違いないな」
「うむ、あの者達こそじゃ」
「義経殿とその主従」
「間違いない」
こう言って彼等を見据える。確信したからにはだ。彼等も逃すつもりはなかった。
それは富樫も同じだ。彼は山伏達を見ながらだ。先頭のその大柄な山伏が前に出たのを受けてだ。こう問うのであった。
「それでじゃ」
「はい、それがし達がここに来た理由ですな」
「訳なくして関所は通れぬ」
こうその山伏に告げる。
「御主等はどうしてこの関所を通るというのか」
「東大寺再建の布施を
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