第2章 ヘンシェル星系攻防戦 前編 血塗られた赤土
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それはとんでもない光線から始まった。
宇宙歴789年6月20日0300時 血みどろの「ヘンシェル星系攻防戦」の火ぶたはこのカーラ=テーベ衛星群宙域で切って落とされた。
帝国軍はこの鉱石産出衛星群に3個戦艦群、5個巡洋艦群、2個空母機動群約5000隻を主力とする「ヘンシェル星系賊軍討伐軍」を送り込んできた。これに対して同盟軍はカーラ=テーベ宙域での最大宇宙戦力である第124巡洋艦群、第223駆逐艦群およびカーラ=テーベ2−2補給基地にたまたま修理のために停泊していた第55巡洋艦群、第90護衛空母群の第31空戦飛行隊、第777ミサイル艇隊を中心とした寄せ集めではあるものの約1700隻でこれに対抗した。この1700隻の艦隊の指揮官でもあり、第124巡洋艦群指揮官でもあるエリー・パスカル大佐は40歳の艦隊戦のベテランで、彼女はカーラ=テーベ宙域第4宙域の小惑星群で敵を待ち構えていた。この宙域は帝国から同盟へ侵入する際にはどうしても通らなくてはいけない宙域で、地上でいえばジャングルのように密集した小惑星群があるためにここを航行する際には速度が弱まる上に艦隊としても隊(250隻)程度の小集団にならなくてはいけなかった。
エリー大佐はこれに1700隻をぶつけるという確固撃破戦法をとったのであった。これにより7日間の足止めと2000隻以上の艦艇を失った帝国軍はヘンシェル攻撃をあきらめたかに見えた。つまり、敵が一時期攻略部隊を引いたのであった。これに安堵した星系軍司令部はこの1700隻の艦隊にオリオン星系区への移動を命じたのであった!
この時点で、司令部はオリオン星系区の攻略情報が偽造であることに気づいていなかったのである。このことを傍受した帝国軍は今度は7000隻のの艦隊を同盟軍艦隊がオリオン到着を見計らってカーラ=テーベに送り込んだのであった!!
今度こそ丸裸のカーラ=テーベ衛星群制宙権はこれといって抵抗らしい抵抗を見せずに帝国軍の手に落ちた。これにより、カーラ=テーベ衛星群駐屯の我々を含めた7000名は風前の灯であった。カーラ=テーベ2−1以外の衛星駐屯部隊は第11後方支援集団の派遣隊であったので抵抗力は皆無でこれらの部隊の運命は悲惨そのものであった。帝国軍は上陸するまでもなく艦砲射撃と徹底したミサイル攻撃で後方支援基地を叩き潰した。こうして2000名もの兵士の命は立った2日で死神の死体袋の中に入った。そしてカーラ=テーベ2−1は後方支援基地を失った上に完全包囲常態下で上陸降下作戦を受けた。
この第1撃は冒頭の「とんでもない光線」から始まった。
敵艦隊の軌道上からの艦砲・ミサイル攻撃である。これにより、地上の設備の80パーセントが使用不可になり鉱山設備も無に帰した。
ただし、ケイン准将の命令で民間技術者は全員が攻撃開始よりかなり前に離脱に成功していた。
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