第3話 我が祈りは旭日と共に 其ノ3
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
な」
最早旧式となったジムU。
その肩には、鮮やかな緋と白で描かれた旭日が翻っていた。
???
粗方の昔話を話し終えた俺は、語り手の席をラリーに丸投げし、武蔵と共にカタパルトに出ていた。
半月の登る満天の星空を2人で見上げながら、夜風に当たった。
平和な夜だ。
「…なぁ武蔵」
「なんだ」
「……あの時こうだったら、とか考えた事あるか?」
きょとんとした顔で武蔵が俺を見る。
暫くした後、武蔵は静かに空を見上げ直した。
「…何度もある。
何度も思い返し、何度も嘆いた。
でも後悔は無い」
「そっか」
「ああ、そうだ」
2人を沈黙が包んだ。
「俺は……後悔、ばかりだ。
俺の采配で死んだ仲間の顔を、いつも不意に思い出すんだ。
あの時撤退していれば、あの時部隊を動かしておけば……あの時、俺が…もう少し早く……着いていれば……」
艦隊司令をやっていれば、嫌でも通らねばならない道だ。
同じ釜の飯を食い、同じ空気を吸い、同じ時間を過ごした仲間なら尚更だ。
「……なぁ司令官よ」
ふわりと、頭を抱き寄せられる。
武蔵は静かに俺の頭を撫でた。
「艦隊を指揮するとはそういうものだ。
それに、お前がそうやって思い出してやれるなら、死んで行った者達も本望だっただろうさ。
我々の死とは、命が尽きた時ではない。
人知れず忘れ去られた時だ」
「……そう…なのか、な」
「お前は純粋だ。
良い悪いは別にしても、私は好きだぞ」
「……ありがとう」
半月の夜闇の中、俺は武蔵の体温を身体で感じ続けた。
女性嫌いだったのを思い出したのは、それから1時間後だった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ