第15話
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じてくれた方に顔向け出来ないからです!」
「っ!?」
その言葉に目を見開いた華蝶仮面、そして――
「フフフ……、フハハハハハ!」
次の瞬間には高笑いしていた。
これには己の矜持を馬鹿にされたのかと、斗詩は怒りを感じたが相手は――
「いや失敬、この笑いは己の不甲斐無さに対してですよ」
そう言って仮面に手を掛け――
「貴方の武に対する真摯姿勢には、このようなもの……無粋でしたな!」
取り払い、後方に放り投げた。
『おおっと!? ここで華蝶仮面の素顔が明らかに、その正体はすっげー美人の姉ちゃんだ! 沸けい野郎共!!』
『うおおおおおおおおおおおおっっっっっっっ!?』
仮面越しにも彼女の端正な顔つきがわかっていたが、不敵な笑みを浮かべながら、さらけ出された素顔はことさら美しく見えた。
「謝罪致しますぞ顔良殿、貴方のおかげで目が覚めました。礼と言っては何ですがこの趙子龍の全力、お見せいたしましょう!!」
「うっ!?」
その言葉と共に槍を構え直す華蝶仮面―――もとい趙子龍、始めの方とは雰囲気が一変している。
「趙子龍……、旅の武芸者として話題の人物ですね」
「まさか華蝶仮面の正体が、あの趙雲だとはな」
呂布と同じく、三国志を代表するような英傑の登場に溜息を洩らしながら呟く、生真面目な人物を想像していたが、あの趙雲は少しお茶目な気質のようだ。
「ハッ!」
「させない!」
そして試合が再開される。先手を取ろうとした趙雲を出し抜いて攻勢に出ようとした斗詩だが――
「遅い!」
得物の長さ、一撃の速さの二つにおいて上回った趙雲に、先手を取られてしまう。
連続で繰り出される突きの嵐に、斗詩はたまらず防御に徹している。
(この突きの間は反撃できそうにないよぉ、ど、どうしよう……)
「そこ!」
「え? キャア!?」
斗詩が何とか反撃の糸口を探ろうとしている内に、意識が疎かになった足元を薙ぎ払われ転ばされてしまう。
すぐに立ち上がろうとした斗詩だったが―――
「そこまで!!」
猪々子の言葉により動きを止める。目線を少し上げると、眼前に槍の矛先が突き付けられていた。
「勝者北方、無所属、趙子龍!!」
『うおおおおおおおおおおおおおお!?』
「斗詩は大丈夫でしょうか……」
「心配ない」
敗北した斗詩を心配した桂花が呟く、それに対して袁紹は悲観することなく斗詩達に目を向けていた。
趙雲の手を借りて立ち上がる斗詩、二人はそのまま握手を交わし、お互いの健闘を称え合っていた。
負けたはずの斗詩の顔に負の感情は見られない。その表情には見覚えがあった、あれは私塾にいた頃、猪々子が自分の武に
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