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Sword Art Online 月に閃く魔剣士の刃
13 セカンドチャンス
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 GMらしき男が語りかけてきた。
 所々音が遠く聞こえて聞き取れなかったが恐らく合っているだろう。
 反応を返そうと四苦八苦してみるが漂っている体はうんともすんとも動いてくれない。
 そんな俺に構わずに音声は話を続けた。笑ってしまうほどに

「今、現実世界に在る君は大変危険な状態にある。ナーヴギアが熱暴走によってエラーを引き起こし、緊急的措置として君の脳との電気信号のやり取りを一時的に制限した。現在、君の脳との接続率は約11%程度だ。それに伴い、君には二つの選択肢がある」

 勿体つけるように声が話を区切った。
 なんだろう?
 わざわざ選ばせるほど、俺にとって重要な事なのか?
 それとも戯れなのか?
 結論の出ないまま、声は俺にとっての究極の二択を突きつけた。

「もし君が望むならば、君をこのデスゲームから解放しよう。私の持つ管理者権限を行使すれば、君のナーヴギアとSAOとの接続を安全かつ完全に切断する事が可能だ。ゲーム内での処理はSignal Lost(接続消失)となり、君は現実世界へと戻る事が出来る」

 現実世界へ……戻れる……?
 いきなり投下された爆弾。
 甘い甘い誘惑じみた選択肢。
 しかし、二つの選択肢が与えられるとなれば、当然対となる選択肢も存在しているわけで。

「しかし、もし君がそれを望まないとあればこちらにも少し考えが在る。君のナーヴギアのソフトウェアを暫定的にアップデートする事にしたのだが、データが足りない。もう一つ言えばこの一瞬にも他のプレイヤーと君とのハンデキャップは広がり続けている。そこで私にとってはデータ収集、君にとってはそのハンディキャップを取り戻す、という形で余興を用意した」

 同じ声のはずなのに、どこか声が不敵に聞こえた。
 どうする……?
 ここには今までに過ごした事の無い、非日常がある。
 互いに命を削り合うスリルと緊張感。攻略組というアイデンティティ。
 そして背中を預けていた仲間。

「前者か後者か、強く思い浮かべた方を君の意思と取る。5分待とう。君の命に関わる話だ。よく考えて決めて欲しい」

 言い渡された選択肢。
 日常か。それとも非日常か。
 解放されて日常に戻るか、命を賭けてクリアを目指すか。
 ぐるぐる回る思考が体感時間を加速させる。
 与えられた5分の猶予はあっという間に過ぎ去っていた。

「時間だ。君の意思を聞こう」

 日常(いつも)を取るか、非日常()を取るか。
 そんなもの、選択の余地など無いだろう?

「君はどちらを選んだ?」
「俺は剣を手放すつもりは無い。余興とやらを聞かせて欲しいな」

 いつの間にか声が出せるようになっていた。
 身体も自分の意思で動くようになっていた。

「いい
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