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カイン=パンジャン
第二章
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「マーラー、カラヤン、ベーム、マゼール、アバド、小澤と」
「多くの人が就いています」
「軒並み嫌な辞任してますね」
「恐ろしい場所でもありますね」
「それでも制服にまで魔物は来ないさ」
 スンダリは笑ってこうも言った、ウィーン国立歌劇場には魔物がいるとまで言われているがそのことをジョークに使ったのだ。
「幾ら何でも」
「宗教も違いますしね」
「そういうことは気にすることはありませんね」
「デザインをモデルにするだけですから」
「別に」
 こうしてだった男性従業員の服はあっさりと決まって。
 そしてだ、次はだった。
 スンダリはあらためてだ、その顔をにこやかなものから真剣なものにさせてだった。こう重役達に言ったのだった。
「そして」
「はい、次ですね」
「女性従業員の服ですね」
「我々も考えに考え抜いて」
「そしてですね」
「会議をして」
「女性スタッフの意見も聞いて」
 男性スタッフからも彼等の制服の要望を聞いたが彼等はオーナーからウィーン国立歌劇場の制服を見せられてこうした感じだと言われるとそれなら、で終わった。
 しかしだ、女性側は。
「そこから色々話になって」
「そして、でしたね」
「色々話をして」
「それで、ですね」
「何かこれになりかけてますが」
「どうですかね」
「そうだな、私もね」
 スンダリは今度は微妙な顔になって言った。
「いいと思うけれど」
「いささかです」
「これは冒険では」
「確かに我々の服ですし」
「動きやすいですが」
 重役達もおおむね賛成といった感じだった、だが。
 その賛成には微妙なものが含まれていた、そしてその微妙なものについてこうしたことを言ったのであった。
「既存の制服とはです」
「違いますから」
「カイン=パンジャンは」
「どうも」
「我がインドネシアの民族衣装だからね」
 スンダリはその服について言及した。
「デザイン的にもいいね」
「はい、しかしそれでも」
「ホテルの制服としては」
「どうでしょうか」
「難しいところがあるのでは」
「そうも思いますが」
「うん、しかし本当にデザインはいい」
 そのカイン=パンジャンのだ。スンダリはこのことは素直に認めていた。
「そして女性スタッフからもね」
「この服ならって意見が多いです」
「動きやすいし涼しいですし」
「しかも露出も案外少ない」
「女の子達にとっても」
「いい感じですね」
「そう、しかし本当にホテルの従業員の制服にいいのか」
 スンダリは真剣に考えつつ重役達に話す。
「どうかな」
「そうですね、まあとりあえず」
「デザインを頼みますか」
「こちらも」
「それで女性従業員に見せてみて」
「それで好評ならですね」
「着るのはスタッフでね」
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