第七十六話
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「あっ、ちょ、ちょっと……」
「じゃあ桂子、頑張りなさいねー」
――里香さんのバカー! なる悲鳴が聞こえたような気がしたものの、俺と里香はそんなことに構わず、早々と食堂を出て行った。次の授業の教室は桂子と違って少し遠い……
……そして学校も終わり、エギルの店こと《ダイシー・カフェ》。『本日貸切』の看板がドアに掲げられたここでは今、その貸し切った人物達によるパーティーへの飾り付けが、せっせと始まっていた。
「あ、クライン。そこの星形の奴取ってくれ」
「おー。ほらよ」
店内は全体的にクリスマスをモチーフとした飾り付けとなっており、主に男性陣――ここにいるのはほとんど男性だが――が、一部のセンスある者の指揮に従って飾り付けを行っていた。俺が木の上に星形のアクセサリーを付けると、ようやく全ての行程は終了する。
「お疲れー」
「お疲れさん……ってもう時間ギリギリだな、オイ」
そうスーツ姿のクラインが言ってのけたので確認してみると、確かにそろそろ『集合時間』だった。俺と同じく学生服のままだった桂子から、パーティーグッズの方のクラッカーを受け取ると、全員で所定の位置につく。
男一人に女二人の、会話をする声と階段を歩いてくる音。半開きのドアからそれを確認すると、後はドアが全て開き終わる瞬間を待つ。
「お邪魔しま――おわっ!」
先陣を切って店内に入ってきた《黒の剣士》――もとい和人に対し、用意されていたクラッカーの絨毯爆撃が撃ち込まれる。和人は反射的に背後にいる二人を守ろうとしながら、片手を背中に回すものの――もちろんそこに剣はもうない。
「なーに惚けたポーズしてんのよ」
クラッカーから発射された紙に包まれた和人に、マイクを持った里香が近づいていく。後ろにいた明日奈と直葉は大体の事情が飲み込めたようで、和人のその妙なポーズにクスクスと笑っていたが、和人はまだ何がなんだか分からない、という顔を崩さないでいた。
「えっ、いや、その……なんだ。……俺たちは遅刻してないぞ?」
「最初にそれ? ま、主役は遅れて到着するものってことよん? さ、入った入った!」
まだ飾り付けられた《ダイシー・カフェ》をキョロキョロと見回す和人の背中を押して、里香は三人を目立つ場所に施設されたステージへと誘導する。和人たちに小さなドッキリとして、遅れた集合時間を伝えてみんなでお祝いをしよう――とは、この企画《SAOオフ会》に俄然として乗り気だった里香の発案だった。もちろんただの悪戯心ではなく、和人や明日奈のことを、しっかりとお祝いしてあげるために。
「オメェも行くんだ、よ!」
「……っ!?」
そんな和人のことをニヤリと眺めていると、いつの間にか背後に現れていたクライ
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