第短編話 U
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き裂かんと、俺の胴体に向けて炸裂させようとする。このまま受けてしまえば、上半身と下半身がおさらばすることになるんだろうが……《死神》に近づいた瞬間、鞘に仕舞われていた日本刀《銀ノ月》が煌めき、俺の足に絡みついていた蛇の鞭を切り裂く。
「……らっ!」
俺の胴体に向かっていたクローアームを翼を展開して避けると、その頭部に容赦なく跳び蹴りを放つ。蛇の鞭で引き寄せられた勢いの蹴りは流石に堪えたらしく、たまらず《死神》も頭から吹き飛ぶ。
その隙に日本刀《銀ノ月》を構え直すと、翼をはためかせて倒れた《死神》の追撃に向かうが……《死神》も倒れるより先に、そのコウモリの羽で羽ばたき、こちらに向き直る。その顔は鉄面皮のままで、まるでダメージを受けた様子はない。
「そう上手くはいかない……か!」
展開したコウモリの羽のそれぞれと、右手のクローアームからエネルギー波が発射される。無数の乱射されるエネルギー波が、確かに俺を撃ち抜かんと一つ一つ誘導されてきている。それらを日本刀《銀ノ月》で切り払っていくが、その隙に《死神》の接近を許してしまう。
『Tune……Spider……!』
右手のクローアームにエネルギーが貯まっていくのを見て、俺はすかさず展開していた翼を消すと、急落下することで《死神》から距離を取る。日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいながら、両足と片手でバランスを取りつつ着地すると、空中にいる《死神》の姿を視認する。
――と、クローアームに溜め込んでいたエネルギーを、こちらに向けて発射してきていた。
「抜刀術《十六夜》! ……くっ!」
発射された球体のエネルギーを切り裂いたものの、直後にその球体は爆発。ダメージは小さいものの俺の身体を吹き飛ばし、一瞬だけだが俺の耳と目を狂わせる。ゴロゴロと草原に転がる俺の身体を、爆炎が漂う中で蛇の鞭が機械のように正確に俺の身体を捉え、みの虫のように俺の腕を含んで胴体を捕らえ拘束する。
『Tune……Spider……!』
全く身動きが取れない中で、再び《死神》がクローアームにエネルギーを溜めていく。引き裂くのかエネルギーを発射するのかは分からないが、とにかく蜘蛛の鞭の捕縛から抜け出さねば『死』あるのみだが……俺と《死神》の筋力値の差か、まるでビクともしない。
「だが決着は……まだ早い……!」
手も足も翼も出ないが口は出る。俺が唱えるのは風魔法――ただ風を起こす程度の初期魔法で、この蜘蛛の鞭の拘束を脱することは出来ないが……軽い物を動かすことくらいは出来る。
『――――!?』
俺が先程爆発に巻き込まれてしまった時、『つい』ポーチから落としてしまっていたクナイが、その風魔法によって生じた風に乗り、空中の《死神》へと向かっていく。さて、落として
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