第短編話 U
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く、ある程度はプレイヤーの腕前が関わってくる。そうでなくては生産系スキルなど、レベルが同じならば誰がやっても同じということになってしまう。
「肉か……」
メニューは焼き肉に決定する。ひとまず焼けばいいからだ。家に備え付けられてはいたが、一度も使うことのなかったキッチンに、これまた一度も使っていないフライパンを用意する。リズの包丁を弾くほどの油を含んだ肉に、さらなる油は必要ないと考え、フライパンが温まったら即座に肉を投入する。ジュー、という肉と油が焼ける音と空腹を誘う煙が噴出し、さらに肉を投入していく。
「これで全――!?」
エギルに引っ越し祝いに貰ったフライパンはかなり大きく、切り分けてきた生肉を全てフライパンに乗せることが出来た。全ての肉をフライパンの上に乗せたのを確認し、あとは適当に塩と胡椒でも振りかけてひっくり返し、焼き上がるのを待つだけ――と考えていたショウキに、衝撃的な光景が広がってきていた。
「肉が……ない……」
最初に投入した生肉がフライパンから消えていた。いや、最初に投入した生肉だけでなく、フライパンに入れた順から生肉が消えていっている――そのことに気づいたショウキはすぐさま火を消したものの、時は既に遅く。フライパンの中に残っていた大量の生肉は、焦げた少量だけを残してあとは藻屑すらなくなっていた。
「こいつ――」
これでは勝負どころではない。ひとまず残った生肉を《鑑定》スキルを使って見てみると、確か見たことがあると、自作のメモ帳を急いでめくりだした。確かにメモ帳にはその生肉と同じ――正確には、その生肉が生きていた時のモンスター――の名前が刻まれており、そこに書かれていた情報でショウキは全てを察したのだった。
「――炎が弱点」
「むむむ……」
ショウキがそんなことになっているとは夢にも思わず――むしろ、良い匂いだけは隣から匂ってくる――リズは生肉の前で唸っていた。もう一度包丁でチャレンジしてみたものの、ショウキのようにはもちろんのこと、刃すらその肉には届かず。リズはそこで手詰まり、という訳でもなく――時折視線がチラッと、一つの物体に注がれていた。
純白の片手剣《ダークリパルザー》。キリトが人知れず《二刀流》のスキル上げをしていた際、使いすぎて耐久力が減りすぎたとのことで、メンテナンスのために預かっていたものだ。もちろんもう仕事は終わらせているため、新品同然の状態で……アレはリズの最高傑作の一つだ。
つまり何が言いたいかというと、あの光り輝く片手剣ならばあの生肉を斬れ――
「……はっ!?」
――ダメな方向にいってしまいそうになった思考を、首をぶんぶん振って無理やりせき止める。キリトとはいえお客様、お客様の商品を勝手に使うなどとはあって
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