第十六話 探り合い
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場をティアマト星域と想定した。当然だが艦隊戦力もティアマトに展開した。だが実際には帝国軍はアルレスハイムからパランティアを抜けアスターテ星域を目指した。
慌てた同盟軍は艦隊をティアマトからアスターテへと引き戻したが強行軍の上、補給も摂れなければ休養も摂れない状態での戦いになった。前回の戦いで同盟軍が帝国に敗れた一因はそこに有る。前回の失敗は犯したくない、同盟軍はそう思っているはずだ。となると同盟軍が帝国を待ちうけるポイントは有る程度絞れてくる。
最初のポイントはイゼルローン回廊の出口付近だ。本来ならここが一番帝国軍を発見しやすいし迎撃しやすい。原作で同盟軍が帝国領侵攻を行った時、ミッターマイヤー、ビッテンフェルトがイゼルローン回廊の出口付近を迎撃ポイントに提案している事でも分かる。
しかし今回の場合イゼルローン要塞が帝国側に有る。つまり俺は何時でも駐留艦隊を呼ぶ事が出来るわけだ。或いはイゼルローン要塞まで撤退して要塞攻防戦に持ち込む事も出来る。そう考えるとこちらの撃破を考えているであろう同盟にとっては必ずしもベストなポイントとは言えない。
第二はティアマト、アルレスハイム方面に潜み帝国軍の後背を撃つという方法だ。これはティアマト、アルレスハイム方面をかなり索敵したし今も後背には哨戒部隊を置いている。現時点では可能性は低い。
そう考えていくと同盟軍は前方に居ると考えるべきだ。帝国軍がティアマト、ヴァンフリート、アルレスハイム、どの星系を通って来ても比較的短時間に捕捉できる位置に同盟軍は居る。つまりアスターテだ。あそこならティアマトからダゴン、アルレスハイムからパランティアに来る帝国軍にも対応しやすい。
問題が有るとすれば前回の戦いで敗れている事だろう。縁起が悪いとか騒ぐ奴がいるかもしれない。そう考えるとエルゴン星系という選択肢もあるが、そこだとエル・ファシルを見殺しにする事になりかねない。有人惑星を見殺しにする事は共和政民主主義国家の軍隊には出来ないはずだ。やはりアスターテ星域に同盟軍は居る、そう考えるのが妥当だろう。つまり遅くともあと一週間以内に同盟軍と接触するはずだ……。
宇宙暦796年 1月 4日 同盟軍宇宙艦隊総旗艦ラクシュミ ヤン・ウェンリー
「まだ帝国軍の所在は分からんのか!」
「……残念ですが」
グリーンヒル参謀長の答えに指揮官席のドーソン司令長官は苛立たしげにフンと鼻を鳴らした。これで何度同じ会話を繰り返すのか……。
総旗艦ラクシュミの艦橋は司令長官の苛立ちも有りピリピリとした雰囲気と不安に包まれている。周囲に与える影響を思えば司令長官の態度は決して良い事ではない。その所為で皆難しい顔をしている。
もっとも司令長官の苛立つ気持ちが分からないではない。何と言っても帝
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