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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第十六話 探り合い
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深く密かにこちらが近づくのを待ち受けているはずだ……。

ジャガイモじゃなくてアンコウみたいな奴だ。いや、それはアンコウに対して失礼だな。あいつは不細工だが極めて美味だ、おまけに捨てる所が無い。それに比べてドーソンは不細工で滑稽なだけだ、全く違う。ジャガイモも違うだろう、あれも美味だし使い道が豊富だ。ドーソンとは違う。

こっちも勝利が欲しいが向こうも勝利が欲しい。戦う以上勝利を欲するのは当然だがどちらがより勝利を強く求めるか、我慢できるかが戦局を左右するかもしれない。焦るな、焦るのはドーソンだ、お前じゃない。兵力が少ない以上焦りは危険だ。落ち着いてチャンスを狙え。一応策は有るんだ、そのために準備もした。場合によっては撤退すればよい、また出直せばいいんだ。

「前を行く索敵部隊から連絡です。ヴァンフリート星系に反乱軍を発見できずとのことです」
「分かりました」
オペレータが申し訳なさそうに報告してきた。この雰囲気じゃ報告しづらいよな、しかしお前の所為じゃない、気にするな。やはりヴァンフリートに敵はいないか……。あそこは敵を発見し辛いからもしかしたらと思ったが……、まあ想定通りではあるな。

「妙ですな、敵は一体どこに居るのか」
シュトライトが呟くとメックリンガーも頷いた。どうやらこの二人はヴァンフリートに敵がいると想定していたらしい。確かにヴァンフリートは艦隊を隠しやすい場所ではある。

「ティアマト、アルレスハイム方面には居なかった……、ここに居ないとなるとアスターテかな」
二人とも声が小さい、確信が持てず自信が無いのだろう。ビューロー、ベルゲングリューンの二人は黙ってそれを聞いている。

「閣下、このままですとアスターテ星域を目指す事になりますが、その後は如何しますか」
メックリンガーが躊躇いがちに問いかけてきた。

「その場合はエル・ファシルへ行きましょう。あそこは有人惑星が有ります。同盟軍も見捨てる事はしない筈です」
四人が頷くのが見えた。安心しろ、敵はおそらくアスターテでこちらを待ちうけているはずだ。

この四人は前回のアスターテ星域の会戦に参加していない、そしてドーソンの事も知らない。だから敵の狙い、心理状況についても今一つ理解できていない。だが、それで良いと俺は思っているから彼らに説明はしない。下手に説明して先入観を持たれたくはないのだ。

それにビューローもベルゲングリューンも俺に遠慮している。俺が何か言うとそれに拘りかねない。俺の考えはあくまで予測だからな、外れる可能性は十分に有る。そして現状では敵については何も分かっていない。白紙で良いのだ……。そのほうが様々な可能性を見落とさずに済むだろう。

敵はアスターテに居る、根拠は有る。前回の戦い、同盟軍は帝国の仕掛けた欺瞞作戦に引っかかり主戦
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