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紋章
4部分:第四章
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に待っとくんだな」
「期待しないで待ってるわ」
「そうかい、で、これから都に行くのかい?」
「そうだけど」
「そうか」
 男はそれを聞いて髭をしごきながら考える顔をした。
「ギルドに行くのよ。それで仕事をもらうつもりよ」
「キャラバンの護衛でも何でも」
「なあ皆」
 男は仲間達に声をかけた。
「俺達も。ギルドに入ってみねえか?」
「えっ!?」
 グルドはその言葉を聞き思わず声をあげた。
「いやな、御前さん達と話してて思ったんだけどな、どうも俺もこいつ等も悪党には向かねえようだからな」
「顔だけなら合格なんだけどね」
「口が減らねえな。まあいい、とにかくそうなると何がいいか」
「ギルドで職を探すってこと?」
「俺達は戦士にレンジャー、盗賊だ。まあ何か雇ってもらえるだろうしな」
「じゃあ行ってみれば?」
「おう。皆、それでいいな」
「御前がそう言うのならな」
「どうもここは今一つ稼ぎが悪いしな」
 仲間達もそれに賛成した。
「そういうことだ。これで決まりだ」
「じゃあ途中まで一緒に行く?」
「悪くねえな。何なら都でも一緒に仕事するかい?」
「それは簡便願いたいわ。むさ苦しい男とずっと一緒にいたくはないから」
「麗しい王子様ならともかく」
「へっ、夢見てるみたいだな」
「夢は幾らでも見られるわ」
 ビルギースは表情を変えずに返す。その間にグルドは馬を引っ張って来た。
「じゃあ先に行ってるよ」
「おう、じゃあ追っかけるぜ」
「都でまたね」
「今度は飲みながら楽しくやろうぜ」
「いいね。けどあんたのおごりだよ」
「ちゃっかりしてやがるな、おい」
「あんた達が更生した祝いだよ。それだったらいいだろ?」
「じゃあそう考えるか」
 男達はそれで納得することにした。言われてみれば悪い気はしなかった。
「御前さん達とはこれからいい付き合いをしていきてえな」
「それはあんた達次第だね」
「期待してるわ」
「期待されてやるぜ」
 これが一時の別れの言葉であった。グルドとビルギースは馬に乗り先に都に向かう。男達は一旦廃墟の奥に戻ってそこから支度をはじめる。紋章がもたらした出会いと運命。後にその名を知られることになる双子の女冒険者のまだ駆け出しの時の話であった。

紋章   完


                 2006・4・26

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