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2部分:第二章
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「ごたくはもう飽きたからさっさと出しな」
「これで最後にしていいかしら」
「ああ」
「それじゃあ。嫌よ」
 グルドはきっぱりと言い切った。
「あたしもビルギースも。そんなの払うつもりはないから」
「やるつもりかい」
「ええ。ビルギース」
 そして今まで黙っていたビルギースに声をかけた。
「やる?」
「グルドがそう言うのなら」
 静かに頷いた。
「私はそれでいいわ」
「わかったわ。それじゃあ決まりね」
「どうしても払わないつもりかい」
「最初から言ってるじゃない」
「仕方ねえな。手荒なことはしたくねえんだが」
「随分優しいのね」
「これでもそれなりに人の道はわきまえてるつもりでな」
 盗賊をしていて何を、とも思うが確かにこの男は案外穏やかであった。
「まあ、こっちもこれが仕事なんでね」
「おじさんとは他のところで会いたかったわね」
「今更そんなことを言っても何にもならねえわな」
 盗賊達は二人を取り囲んだ。
「悪く思うなよ」
「ええ、こうなったらお互い様」
 グルドは剣を抜いた。ビルギースも印を結んだ。
「容赦しないわよ」
「グルド、けれどこの人達それ程悪い人達じゃないわよ」
「だけれど盗賊なんだって」
「そんなに悪い人達じゃないから。剣や魔法を使うのはよくないわ」
「それじゃああれをやるの?」
「ええ」
 ビルギースは頷いた。
「あれをやりましょう。今日は後はもう寝るだけだし」
「わかったわ。それじゃあ」
 グルドは一旦構えを解いた。そして一歩下がりビルギースの隣に来た。
「やるわよ」
「ええ」
 二人は呼吸を合わせる。そして周りを取り囲む盗賊達と対する。
「何をしようってんだ、一体」
「すぐにわかるわ」
 今度はビルギースが答えた。グルドのそれとは違って楽器の様に清らかな声であった。

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