1部分:第一章
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し。置いておきましょう」
「お水もね。程々にしといた方がいいよね」
「そうね、お水も」
そう言いながら鞍にある水袋を見た。
「大切に置いておきましょう」
「砂漠を出たら大きな街があったわよね」
「カリフのおられる街よね」
今二人がいる国はカリフが治めているのである。温厚で慈悲深いカリフだと言われているが本人に会ったことはないので
確かなことはわからない。
「そこに行けば。また食べ物が手に入るね」
「ええ。それに仕事も」
「仕事、かあ」
グルドはそれを聞いて顔を見上げた。
「最近安い仕事ばかりだから。大きな仕事がしたいわね」
「キャラバンの警護とかじゃ嫌なの?」
「あたしはいいけれどあんたが困るんじゃないの?」
グルドはビルギースに顔を向けて言った。
「スケベな親父に囲まれるから」
「そんなの気にはならないわ」
ビルギースはその整った顔に優雅な笑みを浮かべて言葉を返した。象牙色の顔が次第に深くなっていく夜の闇の中に映っていた。
「グルドがいつも一緒だから」
「あたしは別に何もしていないわよ」
グルドはスッと笑ってそれに応えた。
「いつも。ビルギースに助けてもらってるし」
「そうかしら。グルドの剣がないと私なんてとっくに」
「あたしだってさ。ビルギースの魔法がないと」
二人は互いにそう言って褒め合っていた。そして干し肉とナツメヤシを食べながら夜を過ごしていた。そのままうとうとと眠り
に入ろうとしていた時に火がゆらりと揺れた。
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