第24話 凡夫の犬歯は、気高き名犬に届き得るものなのか
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よる射程内からギリギリ脱出できたが、彼女の得物である日本刀だけは駄目だった。
「なっ!?」
どよっ!!?
薙刀の刃部が日本刀の頭に当たり、義経の手元から宙に飛んだ。
無理な体勢からの緊急離脱により、力の加減具合が下半身に集めてしまい、上半身の腕力を少しばかり抜いてしまった原因も上げられた。
その事態にやられた本人も、ギャラリー達も驚くがまだ終わりでは無かった。
「やあ!」
「えぇええ!?」
何とこの得物有り無しの戦況の有利さを投げ出すかのように、一子が義経に向かって自分の得物である薙刀を放り投げたのだ。
これに虚を突かれた義経は、ほんの1秒ほど、思考が真っ白になった。
そんな大きな隙を見逃す程一子は甘くない――――と言うよりも、この一連の流れは、一子が一生懸命考えて創り出そうとした瞬間だった。
一子には、武術における才能が無いと言われているので、気の容量も百代に比べれば雀の涙程ではあるが、それでもあるのだ。
そして、今日までに川神院で教わらなかった士郎直伝の身体運用法と、雫からの僅かな気の無駄亡き効率性かつ最大抗力を引きずり出す訓練により、予め利き脚の右足に溜めておいた気の力により、瞬時に義経の真後ろに回り込み――――。
「百舌落としッッ!」
「くぅぅ!」
腰を掴んで、バックドロップの要領で義経を地面に叩き付けようとする。
ザクッ
先程投げた薙刀が、彼女たちのほぼ真横の地面に突き刺さる。
「ハッ!」
しかし、それを地面に当たる直前に、側転の要領で地面に両手をつき躱す。
そして、躱したことにより体勢を取り戻そうとした処で、目と鼻の先に、先程一子自身が投げた薙刀の切っ先が義経の視界の中心部を支配していた。
「あっ・・・・・・」
「ハァハァハァハァハァハァ・・・・・・」
当の一子は、かなりの綱渡りの様な戦法により、義経の直前で薙刀を突き付けたまま肩で息をしていた。
そして、あれだけ騒がしかったギャラリーたちの声も静まり返り、聞こえてくるのは一子の荒い呼吸音だけが響いていた。
「ルー先生、ジャッジを!」
そこで、危うげながらも見事綱を渡り切った結果を称賛する様に、士郎がルーに審議を促す。
「ア・・・・・・ああ、しょ、勝者は、川神一子ォッッ!」
ウ、ウォオオオオオオオオオオ!!!
ルー師範代の決闘終了の合図に引きずられるかのように、この結果にこの場全体が騒ぎ出す。
「オォオオオ!すごいじゃないか!?犬ぅうううう!?」
「勝った・・・?すごいよ!ワンコ!!」
ギャラリーたちに混ざっていた友人達も、信じられないように興奮気味だ。
しかし、当の本人た
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