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少年と女神の物語
第百十一話
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「ナーシャが霊視しましたので」

 より正確に言うと、あれに初めて会った日のいくつかの情報でほぼ確定していたのに、昨日のナーシャの霊視でダメ押しが入った、って感じなんだけど。

「まあ何にしても、一つの神についてかなりの情報を霊視した感じがするそうなんですよ。そうである以上、それで一柱と考えるしかありません」
「この統一性の欠片もないものが・・・あ、いえ。それは問題ないんですね」
「と、いいますと?」

 かなり悩んでいたはずの梅先輩が急に納得したので、不思議に思った俺はその理由を尋ねた。あそこまであっさりと納得されると、さすがに気になる。

「ああ、いえ。大した理由はないですよ。ただ、ウルスラグナ然りヴィシュヌ然り、化身に統一性とかありませんし」
「あぁ・・・確かに」

 言われてみればその通りだ。なぜ今まで気づかなかったのか。そして化身に統一性がない以上、その簒奪した権能の内容に統一性がないのも頷ける。
 だから、『神速』『外骨格の鎧』『酸化』『治癒不能の一撃』なんかが来ても、しかも月齢によって変わったとしても、何もおかしくない。アハハー、何それ笑えない。

「・・・あ、あともう一つ。こっちの水神とかかわりがる、とか言ってたっけ」
「それなら、そちらが分かれば何とかなりそうですね」

 ほんの少し、小さすぎる希望が見えてきた。うん、小さすぎ。

「・・・よし、これ以上考えても無駄だということが分かったので、行きましょう梅先輩」
「そのあっさりとした切り替えはさすが神殺しといったところですかね・・・」

 神殺しと一般人の思考回路の違いがあるということは、いい加減馴れてきた。つっても、考えても無駄なことは考えない、ってのは普通のことだと思うんだけど・・・



 ◇◆◇◆◇



 とりあえず大きめのデパートですべてそろえてしまおう、という意図から少し遠くなるが電車で移動してきた。で、まずは文房具の類から。

「何がいるんでしたっけ?」
「会議の際に使用するホワイトボード用のマジックと、文化祭の貸し出しで無くなった色太ペンにあの無駄に大きな絵の具など、例年通りのものが足りなくなっていますね」
「じゃあ、まずはそれから」

 カゴを一つとってそれらがあるところに向かい、梅先輩が入れやすいように持つと・・・すごい勢いでドサドサと入れてきた。一瞬ひるむ。え、こんなに?

「驚いたかもしれませんが、ウチの学校は全てのクラスに貸し出しを行っていますので・・・かなり、なくなります」
「いや、それはわかってますけど・・・会計ですし」

 学校側にこれだけなくなったぞー、という報告書を出したのも作ったのも俺だ。だから分かってるんだけど、ここまでなくなってはなかったような・・・


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