sts 06 「芽生えゆく焦燥」
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ことを言うヴィータ副隊長に対する返答は、もちろん全員「食べます!」だった。箱に入っている数は6個。ここにいるメンバーはフォワード陣に加えてシャーリーさん、ヴィータ副隊長の合計6人。ひとり当たり1個ずつの計算になる。
ヴィータ副隊長は最初あたし達でどうにかしろと言ってきたが、スバル達の誘いを断りきることが出来ず同じテーブルに着いてくれた。
「これ……とっても美味しいです」
「そうね、ここまで美味しいのは食べたことないわ」
「ヴィータ副隊長! これってどこのお店のですか?」
興奮のあまりやたらと顔を近づけるスバルの首根っこを持ってイスに座らせる。
気持ちは分からなくもないけど、ヴィータ副隊長の気持ちも考えなさいっての。というか、その元気は訓練に取っておきなさいよね。あんたが動くと私が休憩できないんだから。
「こいつは売りもんじゃねぇよ」
「え? ということはヴィータ副隊長の手作りだったり?」
「あいにくこんなもんを作れる技術はねぇよ。これはショウが作ったんだ」
私は一瞬自分の耳を疑った。
これを作ったのがショウさん? ショウさんってあのショウさんよね。私達のデバイスの製作に関わってて、訓練にも顔を出しているあの……。
ここでシグナム副隊長やシャマル先生の名前が出ても驚いたと思うが、まだ女性だけに理解もできる。けれどショウさんというのは……別に男女差別のようなことをしたいわけではないのだが、彼がお菓子を作っている光景はなかなかに想像しにくいだろう。
あの人……メカニックや魔導師だけじゃなく、こんな才能まで持ってるわけ。いったいどんだけ才能に溢れてんのよ。
こんな風に負の感情を込めつつ疑いを持ったのは私だけだろうけど、スバルやキャロも完全には納得できないようだ。ただエリオだけは疑いを持っていない顔をしている。
「あぁやっぱり……見た目とか味的にそうなんじゃないかって思いました」
「え……エ、エリオ」
「何でしょうスバルさん?」
「い、今の言い方からすると……前にも食べたことがあるみたいに思えるんだけど」
「はい、ありますよ。あれ……さっき僕、兄さんがお菓子を持ってきてくれたって言いませんでしたっけ?」
エリオ……確かに言ったけど、普通は市販されてるものを持ってきてくれたって思うから。そこにツッコまなかったこっちにも非はあるし、エリオを責めるような真似はできないんだけど。
……って、スバル。あんた、羨ましそうな顔をするんじゃないわよ。どれだけ食い意地が張ってんのよあんたは。……まあ、この憎たらしく思えるほど美味しいものを食べられると思うと気持ちは理解できるけど。ただ私はスバルと違うからね。そんな風に思ってるのもほんの少しだけだし。
「よし決めた! 私、もっとショウさんと仲良くな
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